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医療の安心・安全への期待の中、「医療安全」の修士18名が誕生  滋慶医療科学大学院大学の学位記授与式

滋慶医療科学大学院大学の3期生学位記授与式。武田学長から一人ひとりに修士号が贈られました

 滋慶医療科学大学院大学は、3月22日(日)に「平成26年度学位記授与式」(修了式)を挙行しました。

 同校はわが国初めて、唯一の「医療安全管理学修士課程」を設置、医療の質・安全の向上を探究する大学院として2011年4月に開学しました。

 今回は3期生として、18名の修士が誕生しました。医療の安心・安全への期待が高まる中、学び・研究の成果を医療現場や教育現場で実践することが期待されています。

武田学長「研究生として、医療安全学の探究を」

武田裕学長による告辞武田裕学長による告辞

 式典では武田裕学長が「皆さんは働きながらのワークライフ、そして学業と3足のわらじを履いて、修了されたことに敬意を表します。医療安全管理学の専門家となって働くわけですが、現場はそう易しいわけではありません。

 団塊世代が後期高齢者となる2025年問題、急性期医療から在宅医療へのシフト、地域包括ケアなど、医療現場はこれまで以上に複雑な問題が山積しています。最近の大学病院での医療事故を見ると、医療安全文化が後退しているのではないかと危惧します。そうした大変厳しい状況の中で、何をなすべきか。本日で修士課程は修了しますが、これが始まりと思ってください。引き続き研究生として、皆さんとともに医療安全の学問をつくりあげていきたい」と激励をこめて告辞しました。

 このあと、愛知県の総合病院で看護師を7年間勤めたあと修士課程に入学した佐藤有美さんをはじめ、修了生18名、一人ひとりに武田学長から「学位記」が授与されました。修了生は2年間の学び・研究の苦労と喜びに感激した表情で受け取っていました。

浮舟総長「職場でさらに医療安全の実践的研究を」

理事長として祝辞を述べる浮舟邦彦総長理事長として祝辞を述べる浮舟邦彦総長

 同大学院大学の運営母体となる学校法人・大阪滋慶学園理事長の浮舟邦彦・滋慶学園グループ総長は「医療は高度化、専門化、複雑化して、さらには病院や施設から地域包括ケアへと軸足を移しつつあり、医療安全はますます重要になります。ここで学ばれたことは、組織の経営マネジメントとしてアドバンテージとなり、医療安全にも即実践が期待できます。今後は職場でさらに実践的な研究をされて、医療安全学の大きな支えになっていただきたい」と期待をこめて、祝福の言葉を贈りました。

-固定観念を変え、発想の転換を-

大阪府立病院機構の遠山正彌理事長大阪府立病院機構の遠山正彌理事長

 来賓として、地方独立行政法人・大阪府立病院機構の遠山正彌理事長は、学長、理事長が立派な話をされましたのでと前置きして、友人の茶人との会話を引き合いに「茶室に入って、何を見るか。掛軸の前にある茶花を見て、どういう花を摘んできたか。茶花は華やかではないが、野に育って美しく一輪置くのが大事。自らの足で探すのがよい。千利休はある時、椿の蕾みという意外なものを用意された」という含蓄のある話をされて、「固定観念を変えることが大事で、発想の転換をしてほしい。大きな任を持ちながら医療安全を全国に広げてほしい」と激励されました。

―学んだことをチームで実世界に活かす時―

レッドランズ大学のDr.マイケル・グローハー言語病理学部長レッドランズ大学のDr.マイケル・グローハー言語病理学部長

 米国カリフォルニア州のレッドランズ大学からは、急性期医療に35年間携わっているというDr.マイケル・グローハー言語病理学部長が「潜在的な医療リスクを察知して、そのリスクを未然に防ぐことによって、患者様とご家族により良い医療効果をもたらします。しかし、最高レベルの医療安全を担保するのは至難の業です。一人の専門家で成し得るワザではありません。組織的な協力のもと、様々な医療職者を巻き込んで成し得ます。全員の責任を確信して、一つの方向に向かわせることが役割となります。皆様は最高水準の教育を受けました。今こそ、学んだことを実世界に活かす時です」とメッセージを贈られました。

―優秀な人材、桜のように満開を期待―

広東医学院の陳文傑・国際交流・合作事務室副主任広東医学院の陳文傑・国際交流・合作事務室副主任

 中国からは広東医学院の陳文傑・国際交流・合作事務室副主任が「大阪滋慶学園とは合作交流、友好関係で20周年となり、感謝いたします。教育理念、学術交流、協力関係によって、お互いに未来に発展していくでしょう。大学院の学生は秀逸な教育を少人数で学ばれ、優秀な人材に育たれました。夢、目標が桜のように満開になることを願っています」と祝辞を述べられました。

修了生謝辞「組織・システムを変えるのは、私達の使命」

謝辞を述べる藤井耕さん謝辞を述べる藤井耕さん

 修士を代表して、臨床工学技士でもある藤井耕さんは「入学時は不安でしたが、2年間はあっという間に過ぎました。多くのレポート課題に正面から取り組み、多くの人と出会い、新しいことを学び、研究をとことん追究しました。仕事をしながらで、困難もありましたが、先生方の指導と仲間の支えがあって、貴重な体験と学友は一生の宝となります。今なお、医療事故がありますが、責任は個人ではなく、システム、組織の問題ということを学びました。組織・システムを変えるのは、私たちの使命です。視点を変えて、医療安全を確保していきたい。未来は創造するもの。本学で学んだことを力にしていきたいと思います」と謝辞を述べました。

  • 指導教官の教授陣とともに全員で記念撮影

    指導教官の教授陣とともに全員で記念撮影