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浮舟邦彦総長 交声曲「海道東征」の大阪初上演についてソプラノの幸田浩子さんと産経新聞紙上で対談

今最も輝いているソプラノの幸田浩子さんと浮舟邦彦総長の対談が掲載された5月20日付の産経新聞(大阪本社発行)

 浮舟邦彦総長が5月20日の産経新聞に取り上げられました。産経新聞社は今秋、元東京芸大教授で全国1000校以上の校歌を作曲するなど戦前に活躍した信時潔作曲の日本初の交声曲「海道東征」のコンサートをザ・シンフォニーホールで開催します。浮舟総長はザ・シンフォニーホールの総監として同新聞社から要請を受けて世界的に活躍するソプラノとして多くのファンを持ち同コンサートに出演する幸田浩子さんと対談しました。

 交声曲「海道東征」のフルオーケストラによる演奏は昨年の熊本での演奏会を含め戦後3回しかなく、大阪では戦後初の演奏となります。宮内庁式部職楽部指揮者を務める北原幸男さんが指揮、大阪フィルハーモニー交響楽団、同合唱団が演奏します。

 対談取材は聖路加国際病院名誉院長で医療秘書教育全国協議会会長でもある日野原重明先生の企画による奇跡のテノール歌手、ベー・チェチョルさんの感動の演奏会が開かれた4月21日に、ザ・シンフォニーホールで行われました。

 以下はその記事です。5月20日付産経新聞の記事のPDFはこちらから。

産経新聞に掲載された浮舟総長の対談記事

滋慶学園グループ総長 浮舟邦彦さん
うきふね・くにひこ 昭和39年、関西学院大法学部卒業。58年、学校法人滋慶学園理事長、62年、同大阪滋慶学園理事長。米フロリダ州立ウエストフロリダ大名誉博士。日本医療秘書学会理事長。平成24年からザ・シンフォニーホール(大阪市北区)を引き受け、総監を務める。

ソプラノ 幸田浩子さん
こうだ・ひろこ 東京芸術大学を首席卒業。同大学院、オペラ研修所修了後に渡欧。2000年名門ウィーン・フォルクスオーパーと専属契約、国内では二期会、新国立劇場などで活躍する。今年4月にアルバム「スマイル-母を想う-」(日本コロムビア)を発表した。二期会会員。

交声曲「海道東征」
独唱、合唱、オーケストラで演奏される荘重な交声曲。8章で構成。日本語の語感を生かした声楽曲を多く残した信時潔は、雅楽風の響きや日本の古謡を彷彿させるメロディーを取り入れ、北原白秋の詩の世界観を際立たせた。白秋の詩は、イザナキ、イザナミによる天地創造から神武天皇の東征と即位までの歴史を壮観に描いている。皇紀2600年の奉祝音楽にふさわしく、祝祭感あふれる管弦楽の音色も聞き逃せない。

 「海ゆかば」で知られる大阪出身の作曲家、信時潔(のぶとき・きよし)と、詩人の北原白秋が作った交声曲「海道東征」のコンサートが11月20日、ザ・シンフォニーホール(大阪市北区)で開かれる。古事記にある神武東征の物語を活写した美しい韻律の詩に、力強くも優美な音楽を与えたこの交声曲は、神武天皇即位を紀元とする昭和15年の皇紀2600年奉祝曲として作られた。戦後70年、信時没後50年の節目の今年に開かれる特別なコンサートに寄せて、同ホールを運営する慈慶学園グループ総長の浮舟邦彦さんと、出演者の日本を代表するソプラノの幸田浩子さんに対談してもらった。

(聞き手 安田奈緒美)

――「海道東征」の特徴をどう捉えられますか

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 幸田 8章からなり、オーケストラ、ソリスト、合唱、児童合唱と壮大なスケールで演奏される重厚な作品です。その中から聞えてくる音楽は、西洋的な響きだけでなく、雅楽の音色だったり詩の内容がまっすぐ伝わってくるメロディーだったり。日本語の美しい歌曲を多く書き残してくださった作曲家、信時潔の渾身の作品ではないでしょうか。
 浮舟 信時作品といえば「海ゆかば」ぐらいしか知らなかったのですが、「海道東征」は、ロマンを秘めた文学書であり歴史書でもある古事記の世界観を、日本的な響きを用いて曲にしている。僕は、クラシック音楽というジャンルの中で、こういう日本的な雰囲気をまとった曲を聴くのも大好きです。
 幸田 私たちのアイデンティティーが感じられます。

――第2章「大和思慕」では「大和は国のまほろば-」という詩を、女声のソリストが美しく歌います

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 幸田 大和への憧れを歌いますが、決して仰々しい音楽になっていないのが特徴だと思います。素朴な形のメロディーで表現されたことで、詩に込められた祈りのような思いが、聴く人の心の中に優しく染み入っていきます。
 浮舟 北原白秋の詩が素敵ですし、それを声楽と器楽を合わせて物語る交声曲、カンタータで表現したことがすごいですね。ベートーベンの第九(交響曲第9番)などもそうですが、オーケストラ音楽に言葉が加わると大きな力が生まれます。この交声曲をCDで初めて聴いた時も、こんなに素晴らしい曲があったのかと圧倒されました。

――信時は大阪北教会の牧師だった父を持ち、教会音楽に親しんで育ちました。大阪府立市岡中学校(現・府立市岡高校)時代には、同級生の小出楢重(画家)や石濱純太郎(東洋言語学者)らと青春時代を過ごし、大阪の文化が育んだ作曲家とも言えます。

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 浮舟 そういった歴史の積み重ねの上に立つ大阪の文化は魅力的ですね。滋慶学園は大阪からスタートして、今は北海道から九州まで全国に専門学校を持ちますが、なぜか本部は大阪を離れられません。経営者としても大阪の街、文化に魅力を感じ続けているんです。
 幸田 歴史的にも、千利休を生んだ堺の商人文化など、大阪の文化は経済とも強く結びついていますしね。
 浮舟 現代でも、関西経済同友会が関西・大阪21世紀協会と協力して、民間で芸術家を応援する制度「アーツサポート関西」を立ち上げました。官に頼るだけではない、民の力で文化を守っていこうという機運が高いのです。
 幸田 ザ・シンフォニーホールなど、ホールも公立より民間のものが圧倒的に多いですね。
 浮舟 朝日放送が運営してきたホールを平成24年に引き受けたときに、名称もそのまま変えずに運営していくことを決めました。名前も含めて文化を継承していきたいと思っています。
 幸田 すばらしいお考えですね。先人が残してくれた文化、芸術を愛しみ、新しい時代の力を加えながら、次世代にしっかり伝えていきたいですね