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大阪ハイテクノロジー専門学校で学ぶ留学生 人と防災未来センターでワークショップに参加しました! 防災に備え地域社会とつながろう!Part2

楊梓先生(左)の指導で地域活動の参加について考えました

 大阪ハイテクノロジー専門学校 日本語学科を今春卒業した中国人の留学生たちが3月28日(木)、「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」(神戸市中央区)の中国出身の研究員、楊梓先生を訪問。防災・減災をテーマにしたワークショップに参加しました。楊先生は2007年の四川大地震をきっかけに防災に興味を持たれ、2009年に日本に留学。日本語を勉強した後、横浜国立大学大学院で「外国人のための防災対策」を専門に研究され、現在は人と防災未来センター研究部に所属されている工学博士です。

 楊先生は、今年1月25日に行われた大阪ハイテクの卒業研究課題研究発表会で日本語学科の留学生たちが報告した「災害に備え地域社会とつながろう」という話に興味を持ってくださり、今回のワークショップが実現しました。

 まず、先生からの自己紹介の後、「災害時に、自分ができることを考える」というテーマで防災・減災にかんするレクチャーを受けました。楊先生は日本語を勉強している留学生への講義だからと日本語で話をしてくださいました。ところどころ大切な言葉は、中国語を入れてくださったので、学生たちもわかりやすかったと思います。

外国人はどのようにすれば地域活動に参加できるのか

 今、日本でも少子高齢化、核家族化、住居形態の変化などからの地域の繋がりの希薄化が問題になっていて、日本人でも地域社会とつながるのが難しくなっているという話がありました。その後、『外国人はどのようにすれば地域活動に参加できるのか』という問題についてワークショップをしました。

  • 防災・減災をテーマに講義をする楊先生

  • 地域活動の参加を考える留学生

 楊先生からの最初の質問は「あなたは継続的に地域の活動に参加したいと思いますか」でした。「したい」というグループと「したくない」という2つのグループに分かれ、それぞれが、①頑張れば参加できる、②何か特別な条件が提示されれば参加してもいい、③どうしても理由があって参加できない―の3つポイントについて、思いつく限りの意見を出し合いました。

 学生が考えて出した答えは、①は「月1回ならできる」、「友達と一緒ならできる」、「自分が好きな活動ならできる」、「地域の方と知り合えるなら参加したい」、「防災や減災の活動であればできる」、「中国語の講座ならできる」等でした。また、②については「授業として単位が認められればやりたい」、「授業内でできるのなら考える」、「同年代の学生も参加しているなら参加してもいい」、「日本語を話すチャンスがあるならできる」という内容でした。そして③の「理由があって参加できない」の答えには、「人見知りがひどいから」、「地域活動に興味がないから」、「勉強が忙しくなるため時間が作れないから」、「休みの日は寝たい」という正直な答えもありました。

 みんなで考え、意見を出し合うワークショップを通じ、地域活動に参加するための課題や条件も見えてきました。6月の大阪北部地震で初めて地震を体験し、地域の避難所に行った留学生は、地域とつながる必要があるとわかっています。しかし、日本人でも希薄になっている地域活動に外国人が入っていくのは難しいと感じています。日本語学科では、本年度も日本事情の授業で「地域活動の参加」を考えています。

留学生も外国人のリーダーとして力になれる!

 楊先生から「地域とつながりを継続的に持っていれば、災害時に皆さんも安心できるし、皆さん自身が外国人のリーダーとして力になれますよ」という話があり、留学生からは「災害時は命にかかわることも起こる。自分で判断できないことには対応できないのでは?」という質問がでました。

 先生は「できることは協力すればいいが、『すみません、これはできません』と分かっている人に聞く判断力も大切です』と言われました。そして、「できないと思うより、できることに協力するという考えが大切です」とアドバイスをされました。1つの例として、関西観光本部が出している「外国語話せます!関西おもてなしバッジ」を紹介してくださいました。

 正式な資格を持つ通訳者でなくても、言葉で困っている外国の方を見かけたらボランティアとしてサポートできるコミュニケーションツールだそうです。私たちの学校はJR新大阪駅のそばにあります。昨年の台風のとき、駅のきっぷ売り場で多くの外国の旅行者が、情報がなくて混乱していました。駅のアナウンスを翻訳して伝えることであれば、学生たちでもお手伝いできるかもしれません。

  • 人と未来防災センターのボランティアさんの説明を聞きました

  • 楊先生と一緒に記念写真

 参加した学生からは「これからは困っている外国人がいたら、自分から声をかけたい」、「地震を知ったことで怖さが軽減した」、「災害に対し人間は弱いものだが、決して脆いものではない。人との絆は地震で壊されるものではない。私たち留学生でもできることがあると思う」という感想がありました。

 日本語学科の留学生は1年半で卒業していきます。その点でも地域とつながるのは難しいかもしれませんが、学科では先輩留学生と後輩留学生が一緒に地域活動に参加し、その活動を次の後輩へ引き継ぐということを考えています。

 以前、大阪・淀川区役所のまちづくりセンターの方から、地域活動では「急がず、慌てず、着実に、が大切だ」と伺いました。留学生でも地域でできる活動に少しずつ参加すれば、国籍に関係なく交流できる場が増えると思います。お互いが理解できる場が普段からあれば、いざ災害時には防災弱者と言われる留学生も、地域の皆さんと協力していくことで、力になれると感じました。

大阪ハイテクノロジー専門学校 日本語学科 山上直子 / webセンター)