お知らせ

News

グループの日本語学校、東洋言語学院4月入学式 日本に賭ける16カ国167名の留学生を地域や企業の人たちが激励

東洋言語学院入学式。各国からやってきた新入生たちが留学の目的や将来の夢を語りました

 心に響く繊細な日本のグラフィックデザイン、音楽に出会い、私はチェンジ、変わっていきます――。

 東京・江戸川区にある日本語学校「東洋言語学院」の入学式が4月10日(金)、同区内の葛西区民館で行われました。ホームステイや地域交流など、協力いただいている大勢の地域や企業の方々が見守る中、16カ国からやってきた167名の4月入学生は、新しい世界への期待に胸を膨らませ、夢に向かって第一歩を踏み出しました。

 短い春を彩った葉桜が、夕暮れの冷たい雨にじっと耐える葛西の小さな公園。傘をさし地図やスマートホンを片手に新入生が三々五々、集まってきました。会館前には、東洋言語学院の教職員や在校生たちが待ち構え、冷え切った身体の留学生たちを温かく包み込むように出迎えました。

地域の人たちは温かく見守ってくれています-徳山学校長

徳山学校長のあいさつ徳山学校長のあいさつ

 式典が始まった午後6時。ホールは留学生を歓迎するお客様で一杯になりました。学校長の式辞が始まると、年4回、留学生を迎え入れている徳山隆学校長が留学生の不安を取り除くように「あなた方は、これまで温かく見守ってくれた家族や友達と別れて、一人で日本にやってきました。それは人間的に成長し逞しく育つ絶好のチャンスでもあります」と、静かに語りかけました。

 徳山学校長は「日本の沖縄には、“いっちゃれば きょうでい”、一度会えば兄弟という意味の言葉があります。皆さんはこの学校で多くの仲間と先生方、地域の方々と出会い、その人たちがあなた方を応援し、温かく見守ってくれていることに気づくでしょう。これから経験するあらゆる場が研鑽の場、勉強の場です。人間力を高め、精一杯夢に向かって精進してください」と呼びかけました。

日本の法律・ルールを知って守ることも大切-浮舟総長

歓迎と激励の言葉をかける浮舟総長歓迎と激励の言葉をかける浮舟総長

 見知らぬ国に来た新入生を激励しようと、滋慶学園グループの浮舟邦彦総長も駆けつけました。浮舟総長はまず、日々の挨拶や良い生活習慣を身につけることの大切さを説くとともに、単に日本語を学ぶだけではなく、日本の文化や伝統に興味を持ち、お互いに相手を尊敬し認め合う国際的感性を養うことや、日本の法律・ルールを知り守ることの大切さを伝えました。

 その上で、浮舟総長は「皆さんは、何のために日本語を学ぶのか、日本語を学んだあとの将来についても思いを馳せることを忘れないで下さい。目標、目的を持って学ぶことが大切です。私たちもしっかりとサポートします。見知らぬ異国の地で不安もあるでしょうが、自らに自信を持って、しっかりと学んでください」と言葉をかけました。

1年間は寝ないで勉強を!-西・スタンフォード大学教授

かつて留学生だった西教育顧問自らの留学時代を振り返って厳しいアドバイスの言葉を贈る西教育顧問

 また来賓の米スタンフォード大学フーヴァー研究所教授で、モラロジー研究所特任教授の西鋭夫・滋慶学園グループ教育顧問や、嶋貫和男・滋慶学園特別顧問からお祝いのメッセージありました。

 西顧問は22歳の時に自ら単身、横浜から船でアメリカに留学、最初のオリエンテーションの時、英語が分からずにパニックに陥った体験談などを披露。「皆さんが今持っている不安や希望、恐怖は非常に良いエネルギーになります。私は1年間、英語が分からず落第寸前でした。必死になってやっていると、1年たてば、突然、目の前が開けます。英語が分かるようになりました。皆さんも1年頑張れば、日本語がしっかりとしゃべれるようになり、生活の枠も広がります。外国語を学べば、脳波も増えます。

 私たち日本人は日常の生活様式の中に美しさを求めます。日本語が分かるようになれば、そういうことにも気づきます。お父様やお母様、家族の皆様に感謝を忘れないでいただきたい。日本にいると、自分の姿が鏡となって、母国がよく見えるようになります。ですから、1年間は寝ないで勉強してください!」とユーモアを交えながら、厳しくも愛情溢れるアドバイスをしていただきました。

新入生、在校生、卒業生 未来を見据えてそれぞれの夢語る

かつて留学生だった西教育顧問留学生に日本での生活について指導する高先生

 教職員を代表して、高源先生から日本での生活についてのアドバイスがあったあと、13名の新入生代表が紹介され、それぞれ、たどたどしいながらも、しっかりとした口調の日本語で夢や思いを語りました。

 「大学で経営を学び、カフェを開きたい」、「アニメの専門学校に進みたい」、「通訳ガイドになりたい」、「脚本家になりたい」、「日本語の先生になりたい」、「タイの日系企業で働きたい」、「ITの仕事がしたい」、「パティシエになりたい」・・・。

 こんな新入生に、東洋言語学院では成長の三原則「目的・目標を持つこと」「自分を変えていくこと」「諦めずに続けること」に添って、在校生や卒業生のスピーチをプレゼントしました。壇上に上った在校生や卒業生たちは、東洋言語学院での学びによって、すっかり上達した流暢な日本語で、自らの成長や変化、あきらめないことの大切さなどを、新入生に披露しました。

留学生の先輩として話すエカテリーナさん先輩として話す在校生のエカテリーナさん

 ロシアからの留学生、エカテリーナさんは「チェンジ 5つの点」と題して話しました。小さな町に育ったエカテリーナさんは高校時代にアメリカ映画「クロウ」を観て、ミステリアスな美しさに衝撃を受けました。ポスターを探しますが手に入らず、好きなシーンを厚紙に鉛筆で写し取ります。そのことをきっかけに大学でグラフィックデザインを学び、心を揺さぶられる沢山のアートを観ます。そして、ひとつの日本のグラフィック作品に出会いました。高校生のときに映画から受けた感動と同じ衝撃の一瞬でした。

 ”強くて心に響く感覚”。 揺り動かされたエカテリーナさんは、すぐに夢中で日本の音楽を聴くようになり、日本語の勉強を始めました。「映画-厚紙-鉛筆-グラフィックデザイン-そして日本と続いてきた私の中での“点”、それが一つにつながったのです。大きな夢と希望と決意に変わりました。私は今ここにいます」と結びました。

「父の国の言葉を学びたかった」と語る竹原みちかさん「父の国の言葉を学びたかった」と語る竹原みちかさん「チャレンジ・始まり」と題してスピーチするイ・ジョンウォンさん「チャレンジ・始まり」と題してスピーチするイ・ジョンウォンさん

 続いて、両親を失い祖母のわずかな家賃収入とアルバイトで稼いだ資金で留学してきたフィリピンからの留学生、竹原みちかさんが語りかけました。日本で生まれた竹原さんは4歳の時、フィリピン人の母を失くし、フィリピンの祖母に引き取られました。

 「年老いた祖母や友達と別れて留学するかどうか、随分悩みました。お父さんは12歳のときに亡くなりましたが、お父さんの使っていた日本語の読み書きが出来るようになりたいと思いました。そして私は今、日本にいます。そしてこの選択を人生のチャンスだと考えています」と話しました。

 また、自らの複雑な家族関係に悩み、自分の殻に閉じこもってしまった韓国からの留学生、イ・ジョンウォンさん。一人の先生と出会ったことから、他人に話せなかった事実を話せるようになり、ついに留学をするまでになった体験を語りました。

 「チャレンジ・始まり」と題してスピーチしたイ・ジョンウォンさんは、「その時から私の人生は変わりました。新しい自分を自分の中に見つけたのです。チャレンジの始まりは自分を知ることです」と力強く話してくれました。

 さらに、この春、東洋言語学院を卒業して早稲田大学政治経済学部に進学した卒業生や、音楽か製菓かで迷いながらも、初心を思い出して東京ベルエポック製菓調理専門学校に進学した卒業生、渋谷の街で一つの音楽と出会ったことをきっかけに、自由で本当に音楽好きの人が集まる東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校に進学したという卒業生らが次々と、夢に向かって突き進む姿を見せてくれました。

 最後は、韓国の軍隊の兵役を終えた後、アメリカに渡り辛い仕事をしながらアメリカ在住の日系女性と結婚した卒業生でした。こどもが生まれ、こどもの将来を考えてチャンスの場を日本に求め、働きながら東洋言語学院に入学したのです。

歌のプレゼントに立ち上がって手拍子をとる新入生の皆さん歌のプレゼントに立ち上がって手拍子をとる新入生の皆さん来賓の方々の案内役を担当した学生スタッフ来賓の方々の案内役を担当した学生スタッフ

 この春、IT上場企業への就職が決まった卒業生は「環境が悪くても自分が弱くても、あきらめない。新しい言葉も積極的に覚えていく。この姿を二人の子供に見せたかったのです。辛いことを乗り越えた後は必ず良いことが起こります。時間はかかってもいいのです。自分を信じてやり続ける。東洋言語の先生方のサポートで就職もできました。目の前にあるのはチャンスです」と述べ、会場に大きな感動を呼びました。

 様々な事情や困難、苦労を抱えながらも、日本に未来に賭けて学びにやってきた在校生や卒業生の皆さんの言葉。不安げにじっと聴き入っていた新入生の皆さんの表情も徐々に明るく変化していきました。自分の将来と先輩たちの歩んでいる姿が共振したのでしょう。東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校のゴスペルチームが歌う「オー・ハッピー・デイ」の歌声に乗って、全員が立ち上がり、体を揺らせながら手拍子を叩き、それこそハッピーな未来を夢見ているようでした。

 東洋言語学院での次回の入学式は7月です。新入生である4月生は先輩となり、今度は迎えられる側から迎える側へと変わります。どのような出会いが待っているのか、楽しみです。