お知らせ

News

出雲医療看護専門学校 第1期生が卒業、“地域創生”の未来への第一歩を刻みました

 縁~未来への一歩~「この生まれ育った出雲の地に恩返ししていく気持ちでこれからの医療に貢献していきます」。

 地域創生への熱い想いを込めて学校法人大阪滋慶学園が3年前に出雲市との連携によって開校した出雲医療看護専門学校の「平成27年度卒業証書授与式」が3月14日(日)、島根県出雲市のラピタウエディングパレスで行なわれました。

 あいにくの雨模様でしたが、出雲市や同市議会、同市商工会議所をはじめ病院や医療機関、福祉施設のご代表のご臨席の中、看護学科、理学療法士学科、臨床工学技士学科、言語聴覚士学科の4学科140名が栄えある1期生として晴れて社会に飛び立ちました。

 卒業式を終えた1期生は、4月から島根大学医学部附属病院や島根県立中央病院、出雲市立総合医療センターの3つの出雲市内の基幹病院に20名以上が就職するほか、卒業生の約7割が地元に留まり就職、地域・地元の医療・福祉の発展に貢献します。

橋本勝信学校長告辞 「第1期生として、よく頑張ってくれました」

 第1期生の皆様、ご卒業おめでとうございます。
この出雲医療看護専門学校は平成25年4月、出雲市と学校法人大阪滋慶学園の公私協力により開校されました。出雲大社の60年に一度の“平成の大遷宮”が行なわれた記憶に残る年でした。開校の目的の一つは、島根県の看護師を養成する、もう一つは若い人たちが島根県内に定着し発展する原動力になるというもので、“地方創生”の発端でした。

 大阪滋慶学園は「職業人教育を通して社会に貢献する」をミッションとし、実学教育、人間教育、国際教育を掲げ、“グローカルカレッジ”をめざしてきました。大きな視野をもってグローバル、国際的な取り組みをしよう、そして国内に目を向けてローカルの視野でもきちんと教育を受けられるようにしようということです。

 皆さんはこの3年間で実学教育、人間教育、国際教育をしっかりと身に付け、厳しい学外実習を経験して、人の心の温かさや感謝の気持ちを知り、人間的にも逞しい魂と行動力を身に付けました。さらに国家試験に向けて、おそらく人生で最も勉強をした時期だったと思います。一所懸命に本当によく頑張ってくれたと思います。益々、大きく成長していかれんことを学園は期待しています。

 卒業生のうち70%は地元に就職してくれました。地元の医療と福祉に貢献していく人材。これは学園としてとても嬉しく思います。当初の設置目的に対応できたのではないかと思っています。

 本校での学びで身につけられたことを誇りに、自信を持って大いに頑張って欲しいと思います。医療のスペシャリストは、時代の技術の変遷が速く、少しでも勉強を怠ると取り残されてしまいます。ぜひ日々の変化に負けず、努力を毎日重ねて、社会の要望に応え世の中に貢献されることを期待しています。辛いこともあるでしょうが、皆さんの努力を生かして頑張って欲しいと思います。

 最後に私の方から言葉を2つ贈りたいと思います。一つは私の大好きな言葉ですが、皆さんがアメリカ研修の時に立ち寄ったディズニーランドの創設者、ウォルト・ディズニーがこういうことを言っています。「好奇心はいつだって新しい道を教えてくれる。とにかく好奇心を持つ。持てば悩むことなく一歩前に出る」。こういう気持ちを大切にして欲しいと思います。もうひとつ、これも私の大好きな言葉で「モラル 道徳意識」と「モラール やる気」です。この二つをきちんと持って仕事に精進して欲しいと思います。そうすれば、自分も成長するし、家族も幸せになるし、友達もみんなついて来てくれる。

 この言葉を皆さんに贈り、私の告辞とします。

 続いて4学科140名の卒業生総代、看護学科、松山初(うい)さんに橋本学校長から卒業証書と文科省認定の医療専門課程専門士の称号の授与が行なわれました。

 学校法人大阪滋慶学園理事長でもある浮舟邦彦総長から祝辞が述べられました。

「私は病む人の悲しみを私の悲しみとします」 浮舟総長、敬愛する日野原先生の言葉を卒業生に贈りました


浮舟総長から1期生に祝福と激励の言葉が贈られました

 皆さんは第1期生として卒業を迎えられました。皆さんが目指す医療・福祉の業界は超高齢化社会を迎え、医療や福祉の形が変わってきています。今までは病院完結型、医療機関完結型の医療で良かったものが、いわゆる急性期医療、リハビリテーション、あるいは地域連携、かかり付け医というように、医療機関の役割も変わってきました。

 また施設と家族・家庭、地域ということの連携やネットワークも重要になってきています。もう一つ大きなポイントは日本の成長戦略の中に、地域の再生が大きなキーポイントとして挙げられてまいりました。医療、福祉はまさにそのキーシステムです。

 そういう社会の変化の中で、皆さんは出雲市、この地域から要請を受けて出来た学校の第1期生として地域の医療、福祉に貢献するべく本日、卒業式を迎えられました。おそらく皆さんは本学を目指すときに、初めて将来の仕事ということに意識を持たれたのではないでしょうか。どういう形で社会に貢献していくのか、キャリア意識をしっかりと持ってこの学校に入学して来られました。そして実学教育、人間教育、国際教育、いわゆる専門教育とキャリア教育というカリキュラムのシステムの下に、自分のキャリアの基礎をしっかりと設計し、組み立てて来られました。国家試験に合格しうる技術、知識をしっかりと身に付けて即戦力の人材として、社会にスタートしようとされているのです。

 これから皆さんは社会に出て、自分のキャリアをアップし、キャリア開発していく時期が到来したということです。真のプロがスペシャリストとして自分のキャリアを開発していく、プロが成長していくためには一つの原則があるように思います。一つは自分の仕事を大切にするということです。自分の仕事に対する誇り、アイデンティティをしっかりと持ち続けて下さい。自分の仕事を大好きになって下さい。仕事を通して社会に貢献していくのだという思い、そのことをしっかりと持っていただきたいと思います。

 そして学び続けるということです。校長先生も告辞の中でお話されました。スペシャリストは生涯、自分の好きなことに対して好奇心を持って勉強し続けるということです。看護師さんであれ、言語聴覚士さんであれ、それぞれの協会があります。その協会に参加して下さい。そして先輩から多くのことを学んでください。常に最先端の技術、知識にチャレンジして下さい。また皆さんはこんなに素晴しい仲間と一緒に同じ道を目指し、勉強し、共に苦しい思いもし、共に励ましあい、今日卒業式を迎えました。そして同じ業界を目指します。この仲間とのネットワークを大切にして下さい。先生方とのネットワーク、業界の方々とのネットワーク、そして明日からの新しい職場でのネットワーク、素晴しい人間関係は皆様方お一人お一人に宝物として財産になるはずです。

 学園もキャリアセンター、あるいは国家試験対策センターをはじめ、これからの皆さんをサポートしていきます。それだけではなく、滋慶学園グループの北海道から九州までのネットワークが皆さんのネットワークとして活用して下さい。
 
 最後になりました。私の敬愛する日野原先生という聖路加病院の先生がおられます。名誉院長です。104歳、今年の10月が来れば105歳です。先生とは医療秘書教育協議会を一緒に作っています。医療秘書学会を作っています。私が全国の理事長をしていまして、日野原先生が会長として、もう30年以上、会を運営しています。その学会で毎回、先生は医療秘書の皆さん、学会の皆さんにお話されることがあります。その言葉を皆さんにお贈りして私のスピーチをしめたいと思います。

 日野原先生は、若い医療福祉の業界で活躍する人たちに仰います。「私は患者さんの喜びを自分の喜びとします。私は病む人の悲しみを私の悲しみとします。病む人から与えられた鍵が私の心を開きます」と常に仰います。まさにその通りだと思います。患者さんに寄り添う気持ち、サービスマインドの在り様、そのことが非常に大切なことだと私は思います。私は誇りを持って皆様の将来を、成長を、見守っていきたいと思います。お一人お一人が自信を持って自分の仕事を大切に、自分自身の歩く道をしっかりと歩み続けていかれることを祈念します。

 この日、市議会開会中のため出席できなかった出雲市の長岡秀人市長の祝辞を同市総務政策部の高田茂明部長が代読されました。

長岡出雲市長 「健康、福祉都市の創造に協力して下さい」

出雲市の長岡秀人市長の祝辞を代読される同市の高田部長

 長岡市長は「出雲医療看護専門学校は看護師、医療スタッフの充実と若者の定住をめざす本市において、学校法人大阪滋慶学園のご理解とご協力でこの出雲の地に開校されました。浮舟総長、橋本常務をはじめ大阪滋慶学園関係者におかれましては、3つの理念に基づく職業人教育を通じて地域、社会に貢献する人材の育成に貢献され、地域の発展に貢献していただいていることに心より感謝申し上げます。

 本市では新たな出雲の国づくり計画『出雲未来図』の中で健康、福祉都市の創造を基本方策の一つに掲げています。この基本方策の下、貴校をはじめ、市内の高等教育機関や医療機関と連携した保健、医療、福祉のネットワークを構築することにより、健康で活き活きと暮らせる街づくりを進めています。どうか卒業後も市内の医療機関などでご活躍いただく卒業生の皆様には、本市の健康、福祉都市の実現に向けて引き続き、ご協力いただきますようお願いいたします。また、本市を離れられる卒業生の皆様には、出雲での幾多の思い出を忘れることなく、今後とも本市の発展を応援していただきますようお願いいたします」と卒業生に呼びかけられました。

 海外教育提携校のポートランド・コミュニティカレッジのカリン・エドワーズ学長と、中国・深圳職業技術学院の温希東副院長から祝辞をいただきました。

 カリン・エドワーズ学長は「ポートランド・コミュニティカレッジは貴校とのパートナーシップをとても誇りに思っています。私自身、国際教育が秘める力を信じており、異なった国籍と文化を持つもの同士が理解しあうことが何よりも大切なことと考えています。大阪滋慶学園と本校とのパートナーシップはだからこそ大切なのです。両国の技術革新を共有できる交換プログラム以上に素晴らしいプログラムはないと思います。お互い汗を流し学びあうことによって、世の中をより健康で安全なものにし将来の世代にさらなる繁栄をもたらしましょう」と、卒業生の幸運と成功を祈っていただきました。

  • カリン・エドワーズ学長

  • 温希東副院長

 2001年から交流を続ける深圳職業技術学院の温希東副院長は、「我々の関係は交流を通じて大きく発展し、深い友情を維持してきました。出雲医療看護専門学校は出雲市が地域に貢献する人材を育成するために創設された学校です。卒業生の皆様は学校での勉強を通じて専門知識や技術を身につけたことでしょう。出雲市が医療・健康・福祉都市として発展するために、大きな力を捧げることと信じています」と祝辞を述べていただきました。

 来賓紹介が行なわれ、島根県看護協会の小森恵子副会長や島根県看護連盟の松浦昌代会長をはじめ、島根県理学療法士会の内田賢会長、島根県臨床工学技士会の福田勇司会長ら各業界団体のトップが次々と紹介されました。また島根大の服部泰直学長や島根県看護協会の春日順子会長、島根大学医学部附属病院の井川幹夫病院長、島根県立中央病院の菊池清病院長をはじめ、沢山の電報を頂き、その一部が紹介されました。

卒業生代表、玉木さんが答辞 「出雲医療看護の1期生として第1歩を踏み出すのが私だったことを誇りに思います」

 在校生代表の看護学科、永原静波さんからの「1期生として皆様は学校を作り上げて来られました。学園祭をはじめ日々の学びでも、実習で忙しい中、私たちをひっぱり上げ、熱心に指導し相談にも乗っていただきました。医療者として日々、表情が逞しくなっていく先輩たちの姿は私たちの憧れであり目標となりました。先輩たちとお別れする寂寥感で胸が一杯です」という送辞を受けて、卒業生を代表して臨床工学技士科、玉木絵梨奈さんが答辞を行ないました。

  • 答辞を終えた玉木絵梨奈さん

  • 送辞を贈る永原静波さん

 玉木さんは「初めての病院実習では多くの壁にぶつかりました。学んできたことが思うように発揮できず悔しさを感じ、厳しい指導に涙することもありました。今この場に立つことができたのは、患者様をはじめ、指導の先生方、見守ってくれた家族、共に励ましあった仲間たちと多くの支えがあったおかげです。これからは今まで以上に辛く苦しいこともあるでしょう。卒業生すべてが困難から目をそらすことなく真摯に向き合い乗り越えていけるように努力を重ねていく医療人となることを信じています。私自身もこの生まれ育った出雲の地に恩返ししていく気持ちでこれからの医療に貢献していくつもりです。出雲医療看護の1期生として第1歩を踏み出すのが私だったことを誇りに思います」と力強く述べました。

 4人の卒業生が各学科の卒業生を代表して家族に感謝のメッセージを伝えました。4人目に保護者の前に出た臨床工学技士学科の男子卒業生は、「決して裕福でない中で学費を払ってくれたおかげで友達と出会い、充実した学生生活を送ることが出来ました。就職のことでけんかをしたこともありました。沢山困らせ、沢山迷惑をかけました。それでも最後の最後まで応援して支えてくれた父と母を誇りに思っています。迷惑をかけた分、それ以上に親孝行ができるよう頑張ります」と、涙でぐちゃぐちゃになりながら感謝の言葉を述べ、溢れる涙を押し切って父親のもとに駆け寄りました。感極まったのか、お父さんも駆け寄り、父子ががっしりと抱き合ってハグすると、感動的なシーンに会場から大きな拍手が沸き起こりました。このあと。全員で「未来へ」を斉唱し記念すべき第1期生の卒業式を終えました。

式典後、ロビーでくつろぐ卒業生の皆さん。栄えある1期生として、様々な縁を大切に未来への一歩を踏み出します