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バングラデシュの悲劇 ユヌス博士から一刻も早い中東和平の実現を懇願するメールが届きました

ノーベル平和賞を受賞したユヌス博士(写真右)と滋慶学園グループの浮舟総長

 バングラデシュの貧しい女性たちをマイクロ・クレジットという小額融資を通して経済的・人間的に自立へ導き、2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス博士が、さる7月1日にバングラデシュのダッカで日本人7名を含む外国人18名が犠牲になったテロに対する声明を翌7月2日に発表、このほどその発表文が滋慶学園グループの浮舟邦彦総長にもメールで送られてきました。

 ユヌス博士と浮舟総長は2010年7月に大阪で出会って以来、友情を深める一方、滋慶学園グループはユヌスプロジェクトの日本に於ける拠点でもある九州大学と連携、協力してユヌス博士の半世紀をまとめた単行本「まんが版 ユヌス教授のソーシャル・ビジネス」(つちや書店刊)を発刊するなどしています。

20141218174317-0001滋慶学園グループと九州大学が連携して発刊したユヌス博士の偉業を伝えるまんが本

 ユヌス博士は日本をはじめ各国の犠牲者の家族に哀悼の意を表した上、テロリストを一国、一地域に封じ込めることはもはや不可能と認識して、大国が立場の相違を克服して、一刻も早い中東和平の実現を果たすように求めています。さらに各国の市民社会のリーダーにも協力を求めています。

 メールが届いた直後の7月7日には、バングラデシュの首都ダッカ北方で再びテロが起き、犠牲者が出ています。多くの卒業生が医療や福祉、音楽やダンスなどの専門職として世界各地で働く滋慶学園グループとしても、一刻も早く世界に平和が訪れることを願うばかりです。

 
ユヌス博士の声明文の原文と邦訳は下記のとおりです。

I am shocked by the barbarity of the terrorist attack on innocent people in Dhaka on July 1 evening. I express my heartfelt condolences to those,far and near, who have lost their loved ones. and wish their souls to rest in peace.

I cannot think of such attacks taking place in Bangladesh. I always believed Bangladesh to be a tolerant liberal country. We must do soul searching on how this breeding of violence began in our country. We want to create a society peacefully shared by everyone,with everyone having their space, having the right for all to express their views freely,without fear or social or official constraints. We want to be part of an emergent new world of equality and dignity.

We also want to promote the same values internationally. I appeal to all nations to work to bring lasting peace in Middle East. Violence,military or terrorist, can no longer be can contained in one country or region. We are seeing this everyday,and must wake up to the fact that violence in one place breeds violence even in remotest places of the world. I plead to the powerful nations please overcome differences among yourselves to bring peace in the Middle East so we have better chances of peace in our cities and communities around the world. I urge the civil society leaders to bring pressure on relevant parties and super-powers to stop violence and to go to the negotiating tables to bring immediate peace in the Middle East.

【日本語訳】
「7月1日にバングラデシュにて発生したテロ事件」に関するユヌス教授の声明

メール発信日付 : 2016年7月5日 17:45 (バングラデシュ時間)

 7月1日の夕方、テロリストが首都ダッカで善良な人々に対して起こした残虐行為に私は大変な衝撃を受けています。この事件で愛する人達を亡くしたバングラデシュの皆様たち、或いは外国在住の皆様たちに、心からお悔やみ申し上げますと共に、お気持ちの平安を保たれますようお祈り致します。

 私はこのバングラデシュでかような残虐行為が起きるなんて考えることが出来ません。私はバングラデシュが寛容で自由な国であると常に信じて来ました。私たちはこの国でかような流血事件がどうして始まったのか徹底的に自己省察をしなければなりません。私たちは全ての人達が平和な気持ちを持って共存できる社会の、そして誰もが拠りどころを持てる社会の、誰もが恐怖や官による束縛を感じることなく、自由に自分の意見を表明できる社会の創造を希求しています。私たちは平等で個人の尊厳を大切にする新たな世界が出現し、そしてその一員になることを願っています。

 そして、私たちは国際的に共通した価値観を追及したいと考えています。私は全ての国々の皆様に中東で未来永劫の平和を実現できますようお互いに協力するように訴えたいと考えています。暴力や武力、テロリストを一国や一地域に封じ込めることは最早や不可能となっています。私たちはこのようなことが現実的に日々起きているのを見ています。ですから、私たちは暴力が一旦起きれば、それが世界の遠い国で暴力が起きる温床になるという事実に目覚めなければなりません。私は影響力を行使できる強力な国々対し、それぞれの意見の相違を克服し、中東和平を実現するよう懇願します。これが実現すれば、私達が居住する世界の都市やコミュニティーにも平和がもたらされるようになるでしょう。市民社会のリーダーの皆さんにも申し上げたい。皆さんが関係する党派や巨大な権力者に影響力を行使して、中東における暴力の即刻停止と和平のための交渉テーブルに就くよう促して頂きたい!