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大阪ガス「考える防災教室 ~その時、あなたを守れるあなたになろう~」に参加しました 災害に備え地域社会とつながろう!Part3

船渓さん(右)の講義を聞く留学生・研修生。

 大阪府北部地震から6月18日で1年になります。大阪ハイテクノロジー専門学校 日本語学科の留学生と研修生の計31名が5月14日(火)、大阪市西区にある大阪ガスの「ハグミュージアム」で、特別講義「考える防災教室」を受講しました。留学生は昨年10月に中国から来日。今まで地震の経験はありません。しかし将来、日本で生活し仕事をするためには、防災についても学ぶ必要があると考え、大阪ガスの方に特別講義を行っていただきました。

 研修生は3月下旬に来日した上海中医薬大学の大学生。日本に3ヶ月間滞在し、提携校の大阪ハイテクノロジー専門学校で専門の臨床工学に加え日本語・日本文化を勉強しています。研修生も全員、地震の経験はありません。ただ、日本の文化、ドラマ、アニメなどに興味を持ち、上海中医薬大学でも日本語の授業を受けています。日本で生活する上で、切っても切れない「地震」や「津波」については知っているようです。

 昨年6月18日朝の大阪府北部地震(震度6弱)は、当時の日本語学科の留学生(現在は大阪ハイテク臨床工学技士科に在学)にとって初めて経験する大地震でした。避難訓練は経験しており、知識も得ていたのですが、揺れたとたんに外へ飛び出すなど、地震への対応は不十分と実感。地域とのつながりを深める活動や、「人と防災未来センター」(神戸市)でのワークショップなど、災害に備える取り組みを行ってきました。今回はその第3弾です。

震度6以上の世界の大地震の20%は日本周辺で発生!?

 講義では、大阪ガス発行のテキスト「考える防災教室」を全員に配布。防災セミナーなどで講師をつとめることも多い大阪ガス ネットワークカンパニー地域共創室の船溪(ふなたに)俊輔さんが解説しました。

 船渓さんは「!」マークがたくさんついている日本地図を指し、「このマークは何だと思いますか」と質問。それが、1926年以降に震度6弱または震度6強以上の地震が発声した場所(63箇所、2017年1月26日時点)だと聞いて、驚きの声があがりました。さらに、国土が全世界の0.25%しかない日本の周辺で、世界の大地震(震度6以上)のなんと、20%以上が起きているというリアルな数字も紹介され、留学生の中には日本で暮らすことに怖さを感じた人もいたかも知れません。

  • 震度6弱以上の地震はこんなに発生!(大阪ガス発行「考える防災教室」より)

  • 阪神大震災の被害の凄まじさを知りました

 船渓さんから「もし、ライフラインのガスや水、電気が使えなくなったらどうなる?」という質問が続きました。研修生たちは「料理ができない」「お風呂に入れない」「携帯が使えない」「明かりがなくなる」…と次々に回答。毎日の生活の中で、普通に使えるものが使えなくなったらどうなるかを、今回初めて考えさせられたようです。

地震の講義で、次のことを学びました。
①日本で暮らすことは、自然災害と共に生きることである。
②万一、大きな震災に遭遇した時にどうなるかを、事前に知っているか知らないかで、その次の行動が大きく違ってくる。
③災害に備えパニックにならないためには、普段の備えや、身の回りのものを上手に使う知恵と工夫が必要だ。

 今回は時間がなく出来なかったのですが、災害時のクッキング術や新聞紙を活用した食器の作り方を学ぶ講座など、大阪ガスではさまざまな取り組みをされています。

ガス管は地震の揺れにも耐えるポリエチレン製

 その後、ガスについて説明がありました。料理中に地震が起きたら、震度5以上で自動的にガスは止まり、点火しているガスコンロも消えます。ファンヒーターも倒れると、ガスが止まるそうです。ガスメーターも微量でも長時間漏れ続けていたら、止まるという説明がありました。

 ガス管がポリエチレン製であることをご存知でしょうか―。ポリエチレン管は、かなり以前から使われており、柔軟性に富むため地震の揺れにも耐え、錆びることもありません。阪神淡路大震災ではその耐震性が実証されたそうです。今では大阪ガス管轄エリアの多くのガス管が、ポリエチレン製だそうです。

 さらに、ガス漏れが起これば器具を止め、火を止める。窓を開け換気扇を回す…。誰でもしそうですが、船渓さんは「換気扇はだめです!電気器具は火花が出て、引火する可能性があるからです」と言います。また都市ガスとプロパンガスの説明もありました。大阪市の都市ガスは空気より軽いため、ガス漏れがあれば、窓を開けることで外へ逃がすことができます。一方、プロパンガスは空気よりも重いため、窓をあけ外に掃き出すようにすればいいとのこと。知らないことばかりでした。

  • ガスメーターの復帰操作を教わりました

  • 世界のガスの生産について解説する船渓さん

 その後、大阪ガスのショールームであるハグミュージーアムを見学。1階のエネルギーフロアでは、ポリエチレン製の伸縮性の高いガス管を触ることができます。実際に触った学生は、その柔軟性に驚いていました。コンピューターを内蔵したガスメーターを使って、地震が起きた場合の体験もできます。大きな揺れによってストップし、安全が確認された後のガスメーターの復帰操作も教わりました。

 2階では、最新式のコンロを使って「餅入りのお好み焼き」を作り、いただきました。このコンロは震度4以上の揺れで自動的に火が消え、鍋のない状態では点火をしないようになっています。3階では、暮らしを快適にするガス器具の展示があり、先進的な機器を取り入れたキッチンやバスルームを見学。留学生からは「ただ、ガスを提供するだけではなく、人々がよりよい生活を営めるような安全で最先端の技術を使った製品を開発されている点が素晴らしい」という声がありました。

  • 最新式のコンロで調理をする学生たち

  • ミュージアムを見て回りました

 最後に船渓さんから自助力の話がありました。「災害が起こると、皆が被災者になります。まずは『あなたを守れるあなた』になってください。自助ができたら、共助、他の人を助けましょう!」。日本は自然災害の多い国ですが、その自然は多くの恵みももたらしてくれています。自然災害の前に私たちは無力です。しかし、その時どうなるかを知っておくだけでも準備ができると思います。

 その時、「私を守れる私になるために」これからも、日本語学科で防災の取り組みを続けて行きたいと思います。

大阪ハイテクノロジー専門学校 日本語学科 山上 直子 / Web広報センター )