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【国際教育部会 報告】 令和元年度の滋慶学園グループ「国際部ミーティング」 危機管理をテーマに開催 受け入れ留学生は50カ国・地域から2000名を超えました

海外研修における危機管理をテーマに開かれた滋慶学園グループ「国際部ミーティング」

 滋慶学園グループの国際業務部門が一堂に会する、令和元年(2019年)度の本部国際センター主催の「国際部ミーティング」が7月26日(金)~27日(土)、世界5カ国6都市にある海外センターなどから約70人が参加して滋賀県大津市北小松にあるグループ研修施設「湖邸滋びわこ」で開催されました。

 会議には、浮舟邦彦総長を始め、常務理事クラスの各幹部や元外交官の国際顧問らも出席、日本アイラック株式会社クライシスソリューション事業部部長の山下寿人氏による基調講演「海外研修 大学の事故事例から学ぶ滋慶学園の危機管理のあり方」に耳を傾け、その後、2日間にわたって活発な議論や報告の展開が行なわれました。

 会議では、現在滋慶学園グループに在籍する留学生数が50カ国・地域からの2,383人になることも報告されました。

15回目を迎え 浮舟総長 「原点に戻って安心・安全を考えて欲しい」

 冒頭、浮舟邦彦総長は15回目を迎えた国際部ミーティングの今年のテーマが、海外研修や受け入れ留学生の「安心と安全の確保」という点に触れ、「今一度、原点に戻って、海外研修はどうあるべきか、どうすればもっと安心・安全を担保することが出来るのか、そういうことを真剣に考えて頂きたい」と述べました。

  • 冒頭のあいさつを行なう浮舟邦彦総長

  • 進行の本部国際センター、渡辺EM(左)

英語版「Professor Yunus‘s Social Business (Manga Version)」

英語版「Professor Yunus‘s Social Business (Manga Version)」

 また、滋慶学園グループでは九州大学のユヌス&椎木ソーシャル・ビジネス研究センターと共に平成26(2014)年に、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス博士の半生を描いたマンガ本「ユヌス教授のソーシャル・ビジネス」(つちや書店)を発刊、このほどその英語版「Professor Yunus‘s Social Business (Manga Version)」(Union Press)が出版され、ユヌス博士と親交のある浮舟総長が、原画を東京コミュニケーションアート専門学校(TCA)の卒業生が担当していることを含めて紹介しました。

 

第一部 海外研修実務委員会 基調講演

 「海外研修 大学の事故事例から学ぶ滋慶学園の危機管理のあり方」 講師 日本アイラックの山下寿人氏
 司会を務める国際センターの渡辺エグゼクティブ・マネジャーから海外研修実務部会についての説明のあと、175の大学の海外渡航に関する危機やトラブルのアドバイスを行っておられる日本アイラック株式会社クライシスソリューション事業部部長の山下寿人氏が登壇、海外研修に伴う危機管理について、講演が行なわれました

  • 講師の山下寿人氏

  • 基調講演

 山下氏は豊富な体験をもとに、日本の学生を狙った海外での犯罪が多様化、巧妙化していることや薬物や食中毒への注意、最近はとくにスマホに気を取られて犯罪に会うケースが多いことなど海外研修や留学中に現地で起きた様々な事例を紹介、引率教員や参加学生が注意しなければいけないことや、渡航先が危険な事態になった場合の催行の可否の判断基準、現地で緊急事態が発生した場合の引率教員や学校、法人本部がとらなければならない体制や行動など、責任問題への対処の仕方を含めて、約1時間半にわたり、きめ細かく中味の濃い解説とアドバイスを頂きました。

「危機管理体制が機能するか」検証が必要

一例として示された事故対策本部組織図(案)

 山下氏は、大きな事故や災害を想定して学校法人としては、いつでも対策本部が設置できるように平常時から危機管理体制を準備しておくことや役割を決めておくことが大切だと話されました。また、緊急時に組織や体制がきちんと稼動することが大事なので、常に機能するかを検証しておく必要がある、とおっしゃっていただきました。

 講演後、浮舟総長も「海外研修にあたっては、出てきた疑問をすべて解決して自信を持って送りだせるようにしなければいけない。研修先では予想も出来ないヒヤリハット的な事案が起こっており、事前に検証し、そういうことを想定した上で対応すべきです。そこまでして行なうからこそ、ぜひ素晴しい研修にして欲しいと思います」と付け加えました。

 
滋慶インターナショナルトラベル及び名鉄観光からの報告

 このあと、各部門からの報告があり、滋慶インターナショナルトラベルからは、グループ全体の2018年度の海外研修参加者数は計5,757人で、前年度より360人増加したと報告がありました。旅行会社の名鉄観光サービス梅田支店からは、日本に来ている留学生が海外研修に参加する際、万一パスポートを紛失したりすると、再発行手続きが煩雑な上、日本への再入国が保証されないこともありうる、と研修旅行中のパスポート管理についてのアドバイスをいただきました。

第二部 各グループからの報告

 

大阪滋慶学園アメリカンセンターの報告

 午後からは「第二部 各グループからの報告」が行なわれ、滋慶WESTグループの大阪滋慶学園アメリカンセンターは、昨年6月の大阪北部地震以後、日本で暮らす留学生の地震に対する不安を取り除く活動に力を入れていることや、引率する先生の不安を無くすために十分な事前研修を繰り返し行なっていること、さらに現地の大学で学生が行なう「学術プレゼンテーション」を成功に導くために、「準備マニュアル」を用意し、学生が周到な準備を行なっていることが海外研修へのモチベーションを上げ、海外研修への高い参加率につながっていると報告がありました。

 
10月5日から神戸でISPO世界大会 パラスポーツフェスティバルも開催

ISPO世界大会について報告する神戸滋慶国際部

 神戸滋慶学園の国際部からは、今年の10月5日(土)~8日(火)に、神戸医療福祉専門学校三田校が日本支部を引き受けている国際義肢装具協会(ISPO)の世界大会「ISPO 2019」が神戸コンベンションセンターで開催され、準備が整ってきたことが報告されました。会議では640の演題が採択され、8会場で日英同時通訳が配置、会場では世界のリハビリ機器、ロボットメーカーなど110社が最新機器を展示します。また兵庫県主催のパラスポーツフェスティバルも開催され、参加者は目標の5千人を上回る見込みだと報告がありました。

ドイツブンデスリーガーなど海外で卒業生が活躍

滋慶EASTからの報告

 滋慶EASTグループからは、海外で活躍する卒業生の紹介が行なわれ、、サッカーワールドカップに東京スポーツ・レクリエーション専門学校の卒業生がトレーナーとして帯同したことや、ネパールのオリンピック委員会と同校が連携協定を結んだこと、東京バイオテクノロジー専門学校の卒業生数名がヨーロッパの有名ワイナリーで活躍していること、東京メディカルスポーツ専門学校の卒業生がドイツブンデスリーガーSCフライブルクで活躍していることなど、専門職として沢山の海外で活躍する卒業生がスライドや映像で紹介されました。

 
ニューヨークのコレクティブ・スクール・オブ・ミュージックでの長期留学

滋慶COMの報告

 また滋慶COMグループの国際部は、研修プログラムの内容を、それぞれの学校が求める個性的で魅力のあるプログラムに変更してきたことや、アメリカ・ニューヨークにある姉妹校、コレクティブ・スクール・オブ・ミュージックでの10ヶ月留学や、ペリーダンススタジオでの長期留学コースを今年度からスタートさせたことを報告しました。

 

浙江中医薬大学から奨学金 同時入学制度で医師資格取得も
 このほか、東洋医療専門学校は、中国の浙江中医薬大学と15年前から行なっている「同時入学制度」について報告。同制度を使って浙江中医薬大学に移籍する東洋医療専門学校の学生のために、昨年から新たに2年半の学費に対して返還不要の奨学金が同大学から給付されることになったこと、同時入学制度を使って同大学に編入した学生の中には、中国の医師資格を取得した人や、医学系の修士号・博士号を取得した人が出てきたことを報告しました。

日本語学校から専門学校や大学院への進学率アップ

 東京の日本語学校・東洋言語学院からは、今年7月時点で34カ国579人の留学生が在籍し、バランスのとれた国際的な環境の下で、最近は専門職をめざして滋慶学園グループの専門学校への進学が増えていることが報告されました。母国の大学を卒業し来日後に東洋言語学院で学び、そのあと日本の大学院に進む人も増加、卒業生のうち15.3%が東京藝術大学や大阪大学、九州大学、名古屋大学などの大学院に進学、日本の医師国家試験に合格して金沢大学の医局入りした卒業生もいることなどが報告されました。在校生の日本語能力試験のN1、N2レベルの合格率も全国平均に比べて50ポイント近くも高いという結果も発表されました。

  • 東洋言語学院の報告

  • 019

    質問する参加者

 
 また、東京福祉大学の大量行方不明事件や、留学生30万人計画の達成によって、入国管理事務所による留学生への在留資格交付が厳しくなっていること、出席率5割以下の学生については入管への報告義務があるが、個別対応やチームワークでのモチベーションアップを図って東洋言語学院では「報告者ゼロ」を達成していることを報告しました。

 

海外職業教育調査研究委員会から 日米のPT教育カリキュラム比較

海外職業教育調査研究委員会の志田先生

 また会議では、国際教育部会の海外職業教育調査研究委員会に所属する滋慶教育科学研究所(JESC)の志田秀史先生と千葉一雄先生が、渡航先の高等教育機関の情報などをきちんと提供できるように、カリフォルニア州立大学DPT(理学療法専門職博士)コースのエントリーレベルのカリキュラムと、大阪医療福祉専門学校の理学療法科の理学療法士(PT)養成カリキュラムを比較研究。「日米における理学療法士養成課程の比較調査-開業及びマネジメント教育に着眼して-」としてまとめあげ、報告を行ないました。

 

第三部 座談会「海外留学生の広報、教育及び就職」

 第三部としてインバウンド部門の専門家が出席して「海外留学生の広報、教育、及び就職」をテーマに座談会が行われました。
最初に、司会の本部国際センターの渡辺英緒エグゼクティブディレクター(ED)から、グループ全体の留学生数は50カ国・地域の2,383人に上り、国別では中国が最も多くて1,116人、次いで韓国の288人、台湾の223人、ベトナムの206人と上位4カ国の内訳を報告しました。

 座談会では、留学生の在籍管理や学生の生活支援や就職、言葉を超えたコミュニケーションの取り方、WEBサイトの多言語対応等々、留学生を取り巻く様々な環境について、各グループ、各学校の取り組みや、これからの課題について話し合いが行なわれました。

第四部 海外センターからの報告

 滋慶学園グループの海外センター各所長から、最近の動向など報告がありました。
■上海センター
 トップバッターは上海センターの謝麗娜代表で、中国の18歳人口の推移や海外留学生の実態について説明しました。特徴的なのは、海外留学生の低年齢化。2018年の高校生の日本留学は5708人で、実数は少ないものの増加傾向にあり、留学生の多いアメリカの減少傾向とは対照的です。

 また中国でもスマホによるオンライン教育が急増しており、上海センターでもチャレンジし、成果を上げています。謝代表自身も中国のテレビに出演し、若者の職業選択について語っています。

  • 上海センターの謝代表

  • 韓国センターの鄭代表

■滋慶韓国センター
 また韓国センターの鄭恩周代表は、「韓国での留学生は2018年で22万人余り。人口の比率からすると世界でもトップクラスの留学大国だと思います。若者の66%が留学を望んでいるというアンケート結果もあります」などと若者の留学状況について説明。韓国での美容研修はさかんに行われ、提携校の研成大学などが受け入れ先になっています。

 韓国のビューティー産業研修所とは、福祉の視点から今後需要が高まると予想される「訪問美容」について意見交換をしました。今年度の目標として、韓国教育機関との交流拡大など3点を挙げました。

■滋慶オーストラリアセンター
 オーストラリアセンターのチュー・マシュー・マネージャーは、海外研修として2017年に909人、2018年に981人の学生を受け入れたと報告。全国のECO系の専門学校は、ホームステイをしながら、英語の勉強と、動物園やアニマルトレーニング施設などでのインターンシップで、10週間の研修。おもてなし・接客系の専門学校の研修は5カ月の英語の勉強と、ホテルでのインターンシップが中心でした。

■滋慶ヨーロッパセンター
 ヨーロッパセンターは高島和宏マネージャーが説明しました。2019年度はプロのためのイタリアンの研修機関・ICIF(イチフ)の日本人講師による国際講座などを実施。世界的なチョコレートのブランド・ヴァローナでの昨年の研修の様子を紹介しました。

■滋慶アメリカセンターLA
 アメリカセンター(LA)の福間クリス代表は、9月以降のe-スポーツ、音楽、ダンスなどの研修の予定や、ダンス系・音楽系の専門留学・長期研修について報告しました。「去年からeスポーツの研修プログラムが追加され人気でした。今年はAIとサイバーセキュリティが追加されます」と紹介しました。

 クリス代表は「研修期間中は学生の安全確保を重視しています。2000人以上の学生を引率するので様々な人との関わりがあります」として、起こりうる災難として、パスポートの紛失、盗難・旅行者を狙った詐欺、ケガ、熱中症・脱水症状、時差ボケ、迷子などをあげました。

  • アメリカセンターLAの福間代表

  • UWFのダグラスディレクター

■滋慶アメリカンセンターUWF
 UWF(米州立ウエストフロリダ大学)アメリカンセンターのダグラス・トレルファ・ディレクターは、春の滋慶学園グループの入学式に大学の新しい学長と副学長が招待されたことにふれ、「滋慶学園グループ英語スピーチコンテスト」の受賞者3人の語学研修受け入れや、サマーセメスター・イン・ジャパンの活動で専門学校東京ウェディングカレッジでの学生とWESTフロリダ大学の学生との交流についても報告がありました。

※日本センターはこちら 

グループ幹部がそれぞれコメントを述べました

 最後に、古島暉大常務理事や斎藤満知子常務理事ら各グループ幹部から発言があり、竹本雅信常務理事が、浮舟総長からのメッセージとして、①継続することを大切にする、②学生第1ですべての物事を考える、③今回のミーティングに各自がどういう位置づけで参加しているのか認識する―の3点を伝えました。そして「海外研修にはリスクがつきものですが、毎年このように集まって緊張感を持って会議をすることは意義深いことでした。有事のときは教務・総務の両委員会組織とともに、皆さんがそれぞれの組織の立場で関わり対応することになるということを理解しておいてください」と、述べました。

神戸・甲陽音楽&ダンス専門学校の卒業生によるジャズ演奏を楽しみました

 国際部ミーティングの夜のプログラムは、バーベキューパーティーと交流会。びわこ倶楽部のエントランスホールでは、ジャズミュージシャンとして各地で活躍している、バークリー音楽大学の提携校、神戸・甲陽音楽&ダンス専門学校の卒業生よるジャズ演奏です。

 佐藤祐紀さん(テナーサックス)、玉垣有一郎さん(トロンボーン)、赤岩秀美さん(ピアノ、バークリー音楽大学に留学中)、紀平曉人さん(ベース)、井口なつみさん(ドラム)の5人のセッションで、モダンジャズの人気曲「ファイブ・スポット・アフター・ダーク」、ディズニー映画「アラジン」のテーマ曲「ホール・ニュー・ワールド」の演奏を楽しみました。

  • ジャズ演奏

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