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パラリンピックを前に神戸で開かれたISPO世界大会 神戸医療福祉専門学校 三田校が研究発表を行ないました! 

最新の義手を紹介するブース

 東京2020パラリンピックを前に、国際義肢装具協会(ISPO)の第17回世界大会が、10月5日(土)から8日(木)までの4日間、神戸コンベンションセンター(神戸国際展示場・神戸国際会議場)で開催されました。参加者は4,696人にのぼり、大会史上、過去最高となり、関係者を含めると5000人を超えました。1989年、アジア初の世界大会が神戸市で開かれ、神戸医療福祉専門学校三田校の澤村誠志校長(ISPO元会長)を中心に運営しました。30年を経て、参加者たちは技術の進歩を実感するともに、持続可能なサポートのノウハウを共有し合いました。

 ISPO日本支部は神戸医療福祉専門学校 三田校にあります。義肢装具士科の佐々木伸学科長と、足のトラブルのサポートやスポーツ選手のためのオーダーメイドの靴を提供する同校のアンテナショップ・ポスクの渡部匤明副代表が、大会事務局の中心メンバーとして準備にあたってきました。教員たちはシンポジウムの座長や研究発表などを積極的に行い、在校生の発表もありました。三田校を中心に神戸滋慶学園が一体となって大会を盛り上げ、グループの学生参加者は約450人。そのうち案内や通訳などのボランティアとして、大勢の学生がかかわりました。

ISPO会長は大勢の学生の参加を歓迎! オープニングセレモニー

 オープニングセレモニーはワールド記念ホールで行われ、ISPOの陳隆明・日本支部長(兵庫県立リハビリテーション中央病院リハビリテーション科部長)、ISPOのフリードバート・コーラー会長をはじめ、共同開催の日本学術会議の山極寿一会長(京都大学総長)、加藤勝信・厚生労働大臣、兵庫県の井戸敏三知事、神戸市の久元喜造市長、海外で義肢装具関連事業を行っている日本財団の笹川陽一会長、WHOの代表らがステージに立ち、挨拶や祝辞を述べました。

  • オープニングセレモニー

  • ISPOのコーラー会長

  • 加藤厚生労働大臣

 ISPOのコーラー会長は挨拶の中で「この大会には革新をおこすアイデアを持った学生たちが大勢参加しています。義肢装具のサービスを必要としている人たちは30年後には3倍になるといわれ、若い人たちのサポートが期待されています」などと語り、学生たちの参加を歓迎していました。加藤大臣は「世界大会の成功のため、関係省庁が一丸となってきました。今回は生体工学の基礎をテーマにしており、医療・福祉の分野とロボットやICTを融合することで、介護福祉の分野が一層進歩することを期待します」と述べました。

 また寛仁親王妃信子様からはメッセージが寄せられ、「2020年のパラリンピックの前に、こうした意義のある国際会議が、30年ぶりにわが国で開かれることを嬉しく思います。すべての人々が平等にその恩恵を受けることができるというのが福祉の原点です。世界の人々に希望を与えることを切に願います」などとのお言葉が披露されました。

開発途上国での車イス普及活動のリーダーや、パラアスリートが記念講演

 記念講演では、低コストの車イスを開発途上国に提供する慈善団体「モチベーション」の設立者であるイギリスのデビッド・コンスタンティン氏が、人間の潜在能力を発揮する人生を可能にするソリューションと教育というテーマで講演。自らのライフヒストリーを語りました。

 21歳のときに首を骨折して四肢麻痺となり、車イス生活を送ってきたコンスタンティン氏は1989年、友人と車イスのデザインコンテストで受賞。このデザインを実用化するためにバングラデシュに行き、障がい者のための車イスづくりのプロジェクトをスタートさせました。以来、アジアやアフリカなど多くの国々で、デザインを重視した車イスを広める活動をしています。

  • コンスタンティン氏の講演

  • パラスポーツで活躍する義肢装具士のトン氏

 続いて、交通事故で膝下から切断したシンガポールのデズモンド・トン氏が講演しました。トン氏は、足を失ってうつ病になり、自殺まで考えたそうですが、リハビリを続ける中で、家族や友人たちから力を得、義肢装具士になりました。スポーツマンだったトン氏は、100m競走や円盤投げ、アーチェリー、バスケットボールなどをするようになり、アセアンのパラスポーツ大会に出場しました。ボルダリングにも挑戦。結婚して子供にも恵まれました。

シンポジウムや研究発表には三田校が積極的に参加

 今大会では期間中、約50件のシンポジウムと教育講演のほか、ポスター展示を含む約600件の研究発表などがありました。国際展示場では国内外の企業約150社のブースが並び、AIやICTなどの技術を応用した義足や義手、人工皮膚、ロボットスーツなどの最新のサポート用品を紹介していました。

  • 最新技術を駆使した義足が並びます

  • 製品の前で熱心に語り合う参加者

 三田校はシンポジウムや研究成果の発表なども積極的に行いました。東南アジア各国で活動経験のある佐々木学科長は「東南アジアにおけるP&O(義肢装具)の学校設立の足跡」をテーマとする教育シンポジウムで、元ISPO日本支部長の田澤英二氏とともに座長として議事を進行。カンボジア、スリランカ、ミャンマー、タイなどアジア6カ国での義肢装具士養成学校の設立と運営を支援してきた日本財団や、東南アジアで義肢装具士の育成を行ってきたイギリスのNGOなどの発表をまとめました。

 また佐々木学科長は、義肢・大腿義足の研究発表で、大腿義足のソケット(切断部位を収納する義足のパーツ)にかんする自らの斬新な研究について報告したほか、座長をつとめました。

  • 田澤氏(左)とシンポジウムの進行をする佐々木学科長

  • 大腿義足の発表では多くの質問も

  • 鎌田恭子先生と向江雅人さんのポスター発表

 三田校の卒業生で、タイの国立マヒドン大学義肢装具学科で助手をつとめるなど、現地で義肢装具士として活躍した三田校義肢装具士科の鎌田恭子先生と、やはり卒業生で、兵庫県の義肢装具製作所で現場経験を積み、足底装具や義手の授業などを担当している唐内健太先生の2人が教育をテーマにしたセッションで、またポスクの渡部匤明副代表は整形靴をテーマにしたセッションで、それぞれ座長をつとめていました。

 また学生では、川村豪人さんが、大腿部の義足に関する研究成果を堂々と英語で発表。鎌田先生や学生の向江雅人さんらがポスター発表をしました。

澤村校長の案内で浮舟総長も視察しました!

 世界大会には、滋慶学園グループの浮舟総長をはじめ、神戸滋慶学園の斎藤満知子常務理事、滋慶京都学園の竹本雅信常務理事、国際センターの渡辺英緒エグゼクティブディレクターらが参加しました。

浮舟総長や澤村校長を囲んで記念撮影

 浮舟総長は初日の5日、三田校の澤村誠志校長とともに国内外のゲストの方々に挨拶をしたり、懇談したりしました。オープニングセレモニーに出席したあと、企業の展示ブースを視察。会場では多くの義肢装具のユーザーがアテンドをしていました。中には交通事故で両足ばかりか片方の腕まで切断し、両足の義足と義手の生活をしながら元気に仕事をしているという人もいて、浮舟総長は熱心に質問をしていました。義手の女性と握手をしたときは「凄いな!ほんまの手のようや」と驚いていました。

  • 学生を激励した浮舟総長と澤村校長

  • 義手の女性と握手する総長

  • お茶と和菓子のサービス

  • 学生たちによるよさこいソーラン節

 会期中、日本文化体験のおもてなしブースで、姉妹校の神戸製菓専門学校による和菓子などのサービスなどがあり、才田宗二事務局長らが海外のお客さまにお茶やお菓子をすすめていました。展示会場で行われたウェルカムパーティーでは、三田校の言語聴覚士科の学生たちが、よさこいソーラン節の踊りのパフォーマンスを披露。海外からのお客様たちの拍手喝采を浴びました。

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 https://www.jikeigroup.net/news/20191024_28305.html