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滋慶学園グループ「第26回マネジメント研修」がザ・シンフォニーホールで開催されました

ザ・シンフォニーホールで開かれた「第26回マネジメント研修」

 令和になって初となる滋慶学園グループの「第26回マネジメント研修」(滋慶教育科学研究所主催)がこのほど、ザ・シンフォニーホールで行われ、学校や企業・施設などのマネジャー層の教職員らが参加しました。1994年以来、毎年秋に開催している滋慶学園グループの重要な研修です。

 学校法人滋慶京都学園の竹本雅信常務理事が司会進行を務め、研修に先立って、2016年に国際バッハコンクールのオルガン部門で日本人として初めて優勝したオルガニストの冨田一樹さんによるバイプオルガン演奏で、バッハの「G線上のアリア」と「小フーガ ト短調 BWV578」の2曲を鑑賞、全員心を落ち着けて研修に臨みました。

 滋慶教育科学研究所の近藤雅臣所長の開会あいさつのあと、滋慶学園グループの浮舟邦彦総長が「マネジメントの基本」をテーマに約50分、講演を行ないました。

  • 冨田一樹さんによるバイプオルガン演奏

  • 担当の竹本常務理事

  • 近藤雅臣所長 

浮舟総長が講演「マネジメントにとって『人』は重要」

「理念やミッションが大事だ」と講演される浮舟総長

 浮舟総長は、25年間に亘って行なってきたマネジメント研修を振り返ったあと、滋慶学園グループでのマネジメントがいかに重要であったか、また未来に向けて必要かを強調。「今の滋慶学園グループがあるのは、マネジメントのおかげだと思うのです」と、古くからの愛読書であるドラッガー博士の著書「ネクストソサエティ」を手に、様々な面から自らが実践してきたマネジメントについて論じました。その中で、「マネジメントにとって、“人”は非常に大切な要素です。エモーショナル・クオシェント(EQ)、マネジメントをしていく上で、人の感情に訴えることができたら、その職場は明るくなります」と感情を有している「人」のマネジメントの重要性を強調しました。

 人が集まってつくる組織は、「管理するものではなく運営していくもの」、「人は資産であり、成長し、成長させていくものです」と述べ、その「ひと」、「かね」、「もの」さらに「情報」を活用して、「目的・目標を達成し、組織として社会に貢献していくことが大事です」と語りかけました。そして、この日の研修によって、「組織を変える、あるいは問題意識を持つ、チャレンジしていく、何か行動を起こす原動力になって欲しいと思います」と訴え、これからのキーワードとして「イノベーション」、「リーダーシップ」、「コミュニケーション」、「アイデア」、「クリエイティビティ」を挙げました。

マネジメントにとって「人間性の尊重」が最も大事 柘植先生

 次いで、リクルートマネジメントソリューションズの主幹研究員、柘植英紀先生に「自分のものとしてのマネジメントを確立する」のテーマで特別講演を行なっていただきました。

  • マネジメントについて講演される柘植先生

  • 隣の人とコミュニケーションする参加者

 柘植先生は、マネジメントを始めて5年程度の人を対象にした内容で話をすすめ、同じく「マネジメントの基本として、人間性の尊重が最も大事である」と強調。「マネジャーはやりがいがあり、自分を成長させることは間違いありません」と述べ、時折、隣の人同士でのコミュニケーションを求めました。そして多くの障害を乗り越えていくためには「借り物でない自分のものとしてのマネジメントを創ることです」などと、教えていただきました。

ベルエポック美容専門学校の三井さんら6人の代表がマネジメントの成功例を発表しました

 このあと、マネジャーを務めるグループの代表6人からマネジメントの成功事例が発表され、原宿の立地を生かして産学連携で独自の美容イベントなどを展開して業績アップにつなげたベルエポック美容専門学校事務局長の三井真以子さんや、職員の全業務を精査しひとり一人の仕事を数値化することで、全体のバランスをとり大幅に残業時間を減らす働き方改革に取り組み、業績を飛躍的にアップさせた日本語学校「東洋言語学院」事務局長、篠原克彦さんら6人のマネジャーがグラフや図表などを使って、それぞれの成功例を発表しました。

  • 成功事例を発表するベルエポック美容専門学校局長の三井さん

  • 東洋言語学院局長の篠原さん

卒業生経営者らによる「スペシャリストのマネジメント Part3」

 最後のセッションとして、業界で経営者などとして活躍する卒業生の方々からマネジメントの考え方や取り組みを聞くパネルディスカッション「スペシャリストのマネジメント Part3」が行なわれました。業界で活躍する卒業生マネジャーを迎えて2年前から開催しているもので、今回が3回目。舞台からは最前線でトップとして活躍される皆さんの自信と気迫が伝わってきました。

 今回、パネラーとして参加いただいたのは、

フィットベイト代表取締役の檀谷謙介さん

 □株式会社フィットベイト代表取締役の檀谷(だんや)謙介さん=東京スポーツ・レクリエーション専門学校(TSR)卒業

[千葉県出身。高校時代にプロボクサーになったが、片目を痛めボクシングを諦めてTSRインストラクター科に進学。卒業後は、大手スポーツクラブのNAS㈱の部門マネージャーなどを経て30歳で起業。現在、株式会社フィットベイトの経営者として女性専用ジム等7店舗を展開]

T&Sプランニング代表取締役の戸田勝則さん

 □有限会社T&Sプランニング代表取締役、戸田勝則さん=新東京歯科技工士学校卒業

[歯科技工士という仕事を知人から教えてもらい新東京歯科技工学校に入学。卒業後、都内の歯科医院などで経験を積みながら2度にわたって渡米。審美歯科を学んだ後、シカゴで歯科技工所を開業しながら、大学で経営学も学ぶ。帰国後、東京でエステティックや外科に関わる有限会社「T&Sプランニング」を経営]

ダイアロゴス代表理事 兼 ソーシャルプランニング流取締役の坂根匡宣さん

 □一般社団法人ダイアロゴス代表理事、坂根匡宣さん=大阪保健福祉専門学校卒業

[2004年、大阪保健福祉専門学校 社会福祉科を卒業。社会福祉士。公認心理師。日本ライトハウス勤務後、母校や大学で教鞭を取りながら、障がい者就労支援サービスの株式会社「ソーシャルプランニング流」を設立。2016年、一般社団法人ダイアロゴスを立ち上げ、代表理事。他に関連会社4社を経営、再犯防止アドバイザーやスクールソーシャルワーカーとしても活躍]

「One More Ship」代表取締役の小池隆二さん

 □株式会社One More Ship代表取締役の小池隆二さん=大阪医療福祉専門学校卒業

[2007年、大阪医療福祉専門学校を卒業。急性期病院や大阪、京都、滋賀などの特別養護老人ホームやデイサービスで勤務。2015年に滋賀県で株式会社「One More Ship」を設立。訪問看護ステーション2施設を運営するほか、介護施設職員向け研修事業などを展開。最近は、アパレル会社やデザイナーと共同で「OHK(オーク)」という介護向けブランドを立ち上げ、アパレル事業にも進出している]

VR作品などを紹介する薄井さん

 □株式会社「ワントゥーテン」チーフプロデューサー、薄井大輔さん=東京コミュニケーションアート専門学校(TCA)卒業

[1998年にTCA広報科を卒業。編集プロダクション「IMAGICA」を皮切りに、マスメディア、マルチメディア、WEBメディアや放浪生活などを経て、3年前に「ワントゥーテン」入社。現在40人が所属するプロデュース部のチーフマネジャーを務める。有名女優を起用したCMプロモーションビデオの制作や、AIロボットのHP制作、サイバーイベントやVR(仮想現実)による車イスレースなどイベントプロデューサーとしても活躍中]

「北の大地の水族館」館長の山内創さん

 □「北の大地の水族館」館長、山内創さん=名古屋コミュニケーションアート専門学校(NCA)卒業
 
[NCAアクアリスト専攻を卒業後、2012年、北海道北見市のおんねゆ温泉で全面建て替えリニューアルを開始した「北の大地の水族館」に勤務。2017年に館長に就任、「日本初の滝つぼ水槽」や冬には零下20度を下回る環境を利用して凍った川の下で生きる魚たちを見せる世界初の四季の水槽」など今も工夫を重ねながら、年間10万人の入場客をもっと増やそうと奮闘中]

司会を務める志田秀史先生

司会は元九州大学大学院准教授の志田秀史先生 
 司会は元九州大学大学院准教授で滋慶教育科学研究所 職業人教育研究センター長の志田秀史先生が担当しました。

 それぞれが卒業してから現在に至るまでの経歴やマネジャーとしての仕事内容などについての自己紹介のあと、志田先生が「なぜ、自分がマネジャーになれたかと思うか、またどういう人がなれると思うか」と質問。それに応えて、それぞれが豊富な体験をもとに考えを述べました。

目の前のことを一生懸命やったから、子供のときからセルフマネジメントが出来たから、高校時代から目指していたから…

檀谷さん 目の前のことを一生懸命やるのみです。勉強も活きるが、実体験には勝てません。だからマネジャーになるために全ての業務を自ら経験しました。社会変化のスピードがすごいので、とにかく新しく起きてくることを一つ一つ処理するだけの毎日でした。わからないことが起きたら調べて、PDCAを高速で廻しスピードをあげる、それに尽きると思います。

戸田さん シンプルにマネジャーに成りたいと思っていました。自分がやりたいことをやるために社長になりたいと思い、実現しました。名前が書けてハンコが押せれば、誰でも社長になれますが、成功するかは、また別の話です。
 上に信頼されて、言われたことがちゃんと出来る、暴走しない、ルールが守れる、常識がある。最低限、当たり前のことが出来る人がマネジャーになれると思います。 

坂根さん 団塊ジュニアで両親は共働きでした。小学生の低学年から料理など家事も自分で出来ていたし、マネジメントする習慣が子どもの頃からあったことが大きいと思います。それと私の性格かなと単純に思います。それと、運が良かったのと、うまい話には乗らない、欲をかかない、お金の話には飛びつかない、実直にやるべきことをやっていこうということを大事にした結果だと思います。
 もう一点は、マネジメントの手法そのものがソーシャルワークの手法と近いということです。例えばニーズというのがあって、それと社会資源をコーディネイトしていくのがソーシャルワークの仕事です。スーパービジョンとかは、ティーチングやコーチングの手法を含めたような概念で、本人の主体性を発揮させていくための手法をとったりするのでマネジメントそのものに通じると思います。

  • 檀谷さん

  • 坂根さん。両隣は戸田さんと小池さん(右)

  • 薄井さん

小池さん 20代にいろんな転職をしました。そのとき思ったのは、後先考えずになんでもやっていい、ということでした。他の人が経験していないことを早めにチャレンジしたほうがいいと思います。私は25歳でリハビリテーション科のトップを務め、その1年後には30人ぐらいのセラピストのまとめ役をさせてもらいました。失敗を恐れるより、失敗して成長したほうが自分のためになると思うのです。後先考えずにチャレンジした結果かなと思います。
 成れるのは、個人的なプライドを捨てられる人だと思います。素直さというか、外部から色々と言ってもらえて、その時は自分の考えと合わないと思っても、マネジャーとして次の引き出しとして持っておけば、別の場面で使えます。

薄井さん 経営トップの立場でないので、視点が違うのですが、マネジャーになれたというより、なってしまったという感じでしょうか。やりたかったわけではないのですが、マネジメントをやることに共感したというか、自分しかいないと思ったからですかね。周りが認めてくれていることに応えたいというか、そういう経緯でマネジメントをやっている感じです。
 マネジャーになれるのは、俺が俺がという人よりは、一歩下がって俯瞰できる人でしょうか。バランスよく均等に見ることが出来る人が多分向いていると思います。ただ、やりたいこともあって、ちょっとした野心がないと絶対に楽しくマネジメントできないので、攻守のバランスがちゃんと取れている人がいいかなと思います。

山内さん 私もなりたくてやっているのではありません。私が館長になったのは、地方の、競争相手がいないところにいたからだと思います。生き物の世界で言うと、「生存戦略」ですか、自分が生き残るためにどこに行けばいいか、どういう選択をすればいいか、ということを考えられる人は必然的にそうなっていくのかなと思っています。
 誰もやる人がいなくて私がやらざるを得ないのだったら、どうやってやるか、いろいろと起きることに対して、常に学びと思ってポジティブに変換して行ける人が向いている、なれる人だと思います。コツ?ですか。私は好きな仕事をやっているので、やらされていると思うよりは、自分が好きな生き物を見る人にどう伝えられるかが出来る立場なんだ、ということに気づけたところでしょうか。

  • 卒業生経営者の意見に耳を傾ける研修参加者の皆さん

  • パネルディスカッションに参加しマネジメントについて語るOB経営者の皆さん

様々な貴重な意見や提言をいただきました

 このあと、専門学校の教育についても卒業生の立場から、様々な意見や提言をいただきました。多くの卒業生の皆さんから専門教育は大事だが、「経済や経営のことが分かるような授業があってもいいのでは」といった意見がでたほか、卒業生のキャリアアップのためのオンライン授業や、卒業生と学生がコラボできるような連携授業への提案などもありました。

 これに対して、志田先生からは「本日のお話を、今後の滋慶学園の学校教育の参考にしていきたいと思います」とまとめがあり、会場から大きな拍手が贈られて、パネルディスカッションを終えました。

「卒業生の活躍を知って我々の自信になった」と浮舟総長が御礼のことば

マネジャーとして活躍する卒業生の皆さんにお礼を述べる浮舟総長

 最後に浮舟邦彦総長が登壇、「本当に素晴しいお話を頂きました。聴いている会場の皆さんにとっては耳の痛い話もあったかも知れませんが、何よりも卒業生の方々がこんなに活躍されていることを知って我々の自信になりました。本日はありがとうございました」と、多忙な中を参加していただいた経営者の卒業生の皆さんに感謝の言葉を述べました。