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神戸医療福祉専門学校三田校の唐内先生、パラリンピックでサポート アスリートのための貴重な経験を振り返りました

2021.10.12

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車椅子の点検をする唐内健太先生

 多くの人たちに感動と勇気をくれた東京パラリンピック。神戸医療福祉専門学校三田校 義肢装具士科の専任教員、唐内健太先生は期間中、ドイツの総合医療福祉機器メーカー、オットーボック社がアスリートのために設置した修理サービスセンターに技術スタッフとして参加しました。同社はパラリンピックのオフィシャルサポーターとして1988年からアスリートに義肢装具、車いすに関わる修理、交換サービスを提供しています。唐内先生はパラリンピックでの経験を振り返り、「学生たちにも今回の貴重な体験を伝え、在学時から国際感覚を養ってほしいと思います」と話しています。

 唐内先生は2008年春、神戸医療福祉専門学校三田校の義肢装具士科を卒業。学生時代の恩師の影響もあって、長いあいだ英語の勉強を続け、東京パラリンピックに関わりたいという夢を抱いていました。昨春から神戸市外国語大の英米文学科(夜間)で本格的に学んでいます。こうした努力が実を結び、義肢装具士科 学科長の佐々木伸先生の推薦で今回の参加が実現しました。

 唐内先生が参加したのは、パラリンピック期間の8月28日から9月4日。スタッフは世界24カ国の義肢装具士、車椅子技師、溶接工などのスペシャリストで構成され、総勢106人にのぼりました。22もの言語に対応することができ、唐内先生は英語でコミュニケーションをとりました。

 選手村に設けられた修理サービスセンターには大勢のスタッフが常駐。約20カ所ある各競技会場にも、サテライトブースとして2人ずつのスタッフが配置されました。「修理サービスは競技用、生活用を問いません。持ち込まれたモノは何でも全て無償で修理を引き受けることがミッションでした」と言います。センターへの依頼は、車椅子71%、義肢16%、装具10%だったそうです。

  • 修理サービスセンター

  • 車椅子の修理の様子 

車椅子の規格は多種多様、ネットで調べてクッション修繕…。試行錯誤の連続です

 唐内先生は義肢装具のスペシャリストですが、車椅子の技術者ではありません。基本的な仕組みを理解している程度ですが、モノをつくったり、分解して仕組みを調べたりするのは得意だそうです。初めて選手村を訪れた時、ロビーにはアスリートやスタッフの列が出来ており、唐内先生にも車椅子のパンク修理や点検の依頼が舞い込みました。「この後、練習があるので、30分以内でお願いします」という急ぎのケースもありました。「頼まれたらやるしかない」という思いになったそうです。

 「依頼内容はパンク修理やタイヤ交換のように、単純なものばかりではありません。センターで用意しているパーツは、そのまま対応できないことが多くありました。車椅子の規格が国によって多種多様だからです。たとえばキャスターの修理の場合、準備されているパーツの種類に限りがあり、その場にある材料をかき集めたり、車椅子本体を加工したりして対応しました」

 車椅子のサイドガード(泥除け)の破損修理は、用意されているサイドガードを元々のタイプに近くなるよう削って交換。しかし付け替えたサイドガードがタイヤに当たってしまい、車椅子のベテラン技術者と相談しながら解決していきました。試行錯誤の連続だったそうです。

  • 義肢をいかに修理するか検討しています

  • 細かく書かれたシフト表

 車椅子クッションの修繕依頼もあり、その場で当て布を使ったパッチワークの方法をネットで調べて対応しました。センターでは選手村での移動用の自転車の修理、式典で旗手が旗を掲げるのを支える器具の製作など、多岐にわたる依頼に対応しました。「競技用以外のモノの修理もアスリートがパフォーマンスを発揮する上で重要だと気付かされました」と語っています。

 「タイヤのチューブ交換作業を通して、各国の競技環境の差を感じました。途上国から持ち込まれる修理品は、現地ではパーツの選択肢が限られており、仕方なく規格が合わないものを使用しているケースも多いようです。キャスター交換のとき、取り外してみるとベアリングが朽ちていて、限界以上に使用されているな、と思いました」

 オットーボック社のポリシーと、チームワークの大切さを体感しました!

 センターには、「5S」というオットーボック社のポリシーが掲げられています。「種類別に」(SORT)、「並べ」(SET IN ORDER)、「美しく」(SHINE)、「標準化し」(STANDARDIZE)、「保つ」(SUSTAIN)の5つの英語の頭文字です。それに基づき、工具を収納する場所は厳密に決められています。工具が出ていると、技術者は自然と片付けを始めます。このポリシーに基づくことで常にセンターが整理整頓され、作業時間も短縮され、クオリティーが上がるというわけです。

  • 仕事は常に相談しながら進みます 

  • センターでは遅くまで仕事をしています

 「センターでは常に“Are you free?“と声がかかり、修理の依頼が舞い込みます。仕事はたいてい周りの人の協力で進みました。苦戦していると助けの手が差し伸べられ、困難なケースはベテランが引き継ぎます。修理が終わると“Good job!”の声が上がり、チームで仕事をしていることが実感できます。アスリートから“Thank you!”と声がかかる中で仕事ができたのは幸せでした」と唐内先生。センターのスタッフやボランティアたちはみんな、出来ることを最大限の力でやっていたようだった、と振り返ります。
  
 母校の専任教員として、「チーム医療論」「義肢装具士概論」などの授業を担当している唐内先生は、医療系の学生はスペシャリストとしての知識・技術を磨くと同時に、その場に応じて臨機応変に能力を発揮できるジェネラリストを目指してほしい、といいます。「とくに英語は自分の視野を広げていく“強力な武器”になります。義肢装具士などの国家資格を取得するだけでなく、その後のキャリアアップを考えて、国際感覚を養ってほしいですね。若い人が3年後にパリで開催されるパラリンピックのサポートにチャレンジしてくれると嬉しいです」と話しています。

  •   競技場に設けられたサテライト 

  • 「国際感覚を養ってほしい」と語る唐内先生

神戸医療福祉専門学校 神戸中央校・三田校

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