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歯科技工の研究成果・技術を披露する卒業研究発表会&テクニカルコンテスト表彰式を開催しました! 東洋医療専門学校

東洋医療専門学校の卒業研究発表会

 学生たちが研究成果をプレゼンテーションする東洋医療専門学校 歯科技工士学科の第20回卒業研究発表会と、在校生の歯科技工技術をたたえる第22回テクニカルコンテスト表彰式が10月29日(金)、大阪市淀川区の大阪ガーデンパレスで開かれました。 

 新型コロナウィルス感染予防で“密”を避けるため、昨年に続き業界関係者らの招待はなく、保護者もオンラインでの視聴となりました。各発表については多くの質疑応答があり、コンテストの表彰式では太田宗夫学校長(元大阪府立千里救急救命センター所長)が、最優秀賞から3位までの入賞者ひとり一人に表彰状を手渡し、たたえていました。

  • 歯科技工のテクニカルコンテストの作品

  • 挨拶をする太田宗夫学校長

自ら課題を設定し、新しい技術による製作に挑戦

  研究発表会では卒業製作で3件、卒業研究で3件の計6件の発表がありました。

 卒業製作発表の最初の演題は「矯正用口腔模型の比較~顎態模型と平行模型の特徴について~」です。口腔内で歯の大きさの計測や歯並びのチェックが困難なため、模型上で行います。2種類の模型を製作し、その違いを比較・検証しました。その結果、「顎態模型」の製作は煩雑ですが、頭蓋骨に対する上下歯列の位置関係を3次元的に観察できるため、過去にはよく用いられていたことが理解できました。現在では、2次元的な観察が容易となっているため、製作が簡単な「平行模型」が診断に用いられていることもわかりました。

  • 2種類の口腔模型の製作について発表

  • CAD/CAMによる接着性ブリッジの製作に挑戦

 続く発表は「歯科用CAD/CAMシステムを用いた接着性ブリッジの製作」がテーマ。審美的な回復と色調再現に注目し、抜けた歯を補うための接着性ブリッジ(歯を削ることを少なくしたブリッジ。少数の欠損に用いられる)の製作を試みました。今回はモノリシックジルコニア(義歯など補綴物の素材)での製作だったため、透明性や色調の変化の再現などに問題が残りました。製作チームでは、補綴物の植立位置を工夫するなどの必要性を感じています。

 3題目の製作テーマは「セミシンタ築盛法を用いた学内実習への応用」です。セラミックを用いたクラウン(被せ物・差し歯)を製作する「陶材築盛法」を学内実習で初めて実践した時、困難さを感じたことからスタートしました。チームは浜崎信夫氏(歯科器材製造販売・株式会社松風のアドバイザー)が提唱する技術「セミシンタ築盛法」を学んで築盛を行うと、この方法だと簡単にできることを確認。学内実習へ取り入れることができると考えています。

  • セミシンタ築盛法による製作について熱心な質問も

  • Zoomによる評価を可能にする光照射角度を検討

Zoomの実習で的確な作品評価が受けられるスマホ撮影法とは!?

 「情報通信技術を利用した遠隔授業時における作品評価方法の提案」の研究は、Zoomを使用した遠隔授業で問題となる作品(製作物)の評価方法について提案するものです。誰もが持っているスマートフォンのカメラを使用した作品の写真撮影法と、画像データを教員に送り評価してもらう方法を検討。撮影ボックスを用いて、照度と背景色、光照射角度、および撮影方法を調整することで、作品の輪郭・表徴とも明瞭な写真を撮影することが確認できました。その画像データを送ることで的確な実習評価を受けられると考えています。

 続く研究発表の演題は「浸透型カラーリングリキッドがジルコニアの強度に及ぼす影響」です。近年、審美歯科への関心が高まっており、製作物のクオリティーを上げるためにも、歯科用着色材料のカラーリングリキッドの需要が増えてきました。しかし、カラーリングリキッドがジルコニア(強度と美しさを合わせもつ被せ物・詰め物など歯科用の素材)の強度に及ぼす影響については発表されていないので、研究チームで検証することにしました。実験の結果、臨床における影響はないと考えられる、との結論に達しました。

  • カラーリングリキッドの影響ついて発表

  • ポリリン酸の抗菌作用にかんする研究グループ

 研究発表の最後は「ポリリン酸の歯科技工への応用」というテーマです。抗菌作用、ホワイトニング、再生医療など多様な用途で注目されているポリリン酸について、歯科技工への応用について検討しました。実験の結果、ポリリン酸を2.0%以上添加することによって菌の増殖の抑制効果が認められました。添加量の調整は必要になりますが、ポリリン酸を添加することによる菌の抑制効果はあり、今後歯科技工への応用の可能性はあると考えられます。

創作のアイデアや歯科技工士としてのテクニックを表彰しました

 この日の後半はテクニカルコンテストの表彰式です。1年生は歯科の領域にとらわれず、彫刻刀などで製作した独自のアイデアの創作物を披露。また2年生・3年生は、総義歯部門・歯冠修復部門・歯型彫刻部門で歯科技工士を目指して身に着けた技術研鑽の成果を展示しました。最優秀賞、2位、3位の学生を、太田学校長がひとり一人に表彰状と記念品を贈りました。

  • テクニカルコンテスト表彰式の様子

  • 石膏ブロック彫刻 創作アイデア部門で表彰された1年生の3人

  • 総義歯部門で表彰された2年生

  • 歯型彫刻部門で表彰された3年生

 第22回テクニカルコンテストの結果は次のとおりです。

1年生 石膏ブロック彫刻

《創作アイデア部門》
 最優秀賞  上熊 梨央奈 「携帯から取り出された絵文字」 
 2位 林原 香望子 「かくれんぼ初心者」 
 3位 酒井 理沙 「公園の蛇口」

《創作テクニカル部門》
 最優秀賞 森坂 祐哉 「オレ様の作品~異次元のサイコロ~」 
 2位 増馬 玲奈 「パイロン」 
 3位 久藤 真奈 「エイ」

2年生
《総義歯部門》   
 最優秀賞 濵崎 竣 
 2位 伊藤 彩 
 3位 竹内 希璃  

《歯冠修復部門》  
 最優秀賞 濵崎 竣 
 2位 久藤 嵩大 
 3位 中島 翔太郎

《歯型彫刻部門》  
 最優秀賞 久藤 嵩大 
 2位 濵崎 竣 
 3位 竹内 希璃

3年生
《総義歯部門》
 最優秀賞 玉置 芙美子 
 2位 田口 雄陽 
 3位 河野 紀子

《歯冠修復部門》
 最優秀賞 田口 雄陽 
 2位 大倉 萌歌 
 3位 岩下 晃大

《歯型彫刻部門》
 最優秀賞 田口 雄陽 
 2位 大倉 萌歌 
 3位 河野 紀子

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