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大阪府立高校や公立中学校で職業体験 府教委との連携協定による“出前授業”から5年

ギター演奏の基礎を学ぶ体験授業

 大阪府教育委員会との連携協定にもとづく、滋慶学園グループの“出前授業”が始まって5年がたち、高等学校から中学校まで広く浸透してきました。中学・高校では、生徒たちに多種多様な職業について知ってもらい、将来の夢や仕事について考えてもらう教育プログラムが増えています。今年度、コロナ禍の中で中学・高校とスケジュールを調整しながら、感染対策を徹底して実施した“出前授業”の一端を紹介しましょう。

 滋慶学園グループと大阪府教委との連携協定は2016年12月に締結されました。2017年度から協定にもとづく“出前授業”がスタート。2021年度で5年になります。この間、大阪府立高校を中心に私立高校、府内の中学校など“出前授業”を希望する学校が多くなっています。京都府や兵庫県の学校からの依頼も目立ってきました。

※大阪府教育委員会との連携協定に伴う出前授業のご案内
 https://www.jikeigroup.net/teikyoujyugyo/

淀川清流高校で1年生に医療・保育・スポーツ分野の体験授業

 大阪府立淀川清流高校では2021年11月~12月にかけ、1年生を対象に3日間に分けて大阪保健福祉専門学校、京都医健専門学校、神戸医療福祉専門学校三田校の先生たちが、保育士や看護師、スポーツトレーナー、理学療法士などの体験授業を2コマずつ担当しました。

 「背筋を伸ばして~。ハイ、上半身を30°、腰から倒しま~す!」。大阪保健福祉専門学校 キャリアセンター長、吉﨑歌葉子先生の声が響きました。12月1日(水)、淀川清流高校で行われた医療秘書の仕事とビジネスマナー・接遇の授業の1シーンです。

 お辞儀作法には曲げる角度によって15°の会釈(社内ですれ違う時などに使う)、30°の敬礼(接客時などに使う)、45°の最敬礼(謝罪する時などに使う)の3通りがあることを、実技を交えて教えました。腰から上体を傾け首だけで曲げないこと、両手は男子ならズボンの横に真っすぐに添え、女子は体の前に添えることなどの作法を指導。このほか企業のトップが部下を連れて来訪した場合の席順なども、クイズ形式で教えました。

  • お辞儀の作法を指導

  • 医療事務について説明する吉﨑先生

 授業の前半では、病院の治療費の請求書の項目や、診療報酬の基礎となる診断・治療の内容に応じた点数の説明など、医療事務に関する講義がありました。

 大阪保健福祉専門学校 保健保育科の専任教員、清水靖子先生は保育士の体験授業を行いました。生徒たちはアニメ映画「となりのトトロ」に登場するキャラクターの折り紙など2種類の制作を体験し、子どもと楽しむゲームのやり方を教わりました。

 保育士、幼稚園教諭などの資格を取得すると、保育園・幼稚園や児童養護施設、障がい児支援施設など、活躍の分野が広がります。清水先生は自らの体験を語りながら、「いのち」の尊さを子どもに教えることの大切さ、保育士という仕事の社会的な意義や魅力について語っていました。

  • 折り紙でアニメのキャラクターを制作

  • 京都医健の学科を紹介する平岡先生

 京都医健専門学校 スポーツ科学科の平岡義光先生は、スポーツ業界について講義。トレーナーやスポーツの指導者、スポーツメーカーなど、選手を支える仕事を挙げて、仕事内容や進路選択の違いについて説明。また、足首の正しい動かし方、スクワットなどの実技を交えながら、生徒が自分自身の体について興味をもつような話をしました。

 また神戸医療福祉専門学校三田校の森野朋先生は、理学療法士の仕事にかんする講義とテーピング実習を行いました。大阪保健福祉専門学校看護学科の学科長、安東弥美先生は、心臓や肺の仕組みについて解説。聴診器で心音や呼吸音を聴く体験を通じ、看護師の仕事の理解を深めてもらいました。

三原台中学校では医療からバイオ、エンターテインメントなど多様な職種を

 堺市立三原台中学校では10月7日(木)、滋慶学園グループの専門学校8校の先生たちが11職種の体験授業を担当。2年生約190人がそれぞれ2種類を選んで授業を受けました。

 大阪医療看護専門学校 看護学科の寺崎経子先生は、基礎的な看護技術である包帯法について講義と実技指導を行いました。基本的な包帯の巻き方や、腕の骨折や脱臼の時の応急処置として肘を吊るのに用いる三角巾の作り方などを教えました。

  • 包帯の巻き方の体験授業

  • 言語聴覚士の授業では「かなひろいテスト」も

 大阪医療福祉専門学校 言語聴覚士学科の松尾泰子先生は、言語聴覚士のサポートとして、①発声・発音の障がいや失語症の機能回復をはかり、コミュニケーションがとれるように指導、②聴覚障害の人のための訓練や補聴器の調整、③うまく飲み込めない・むせるといった障害に対し飲み込む機能を高める訓練と指導、④言語機能の発達が遅れている子どもに語彙や文法、文字習得の促進―というサポート内容について説明しました。また生徒たちは、ひらがなで書かれた文章を読みながら「あ・い・う・え・お」の文字を広い出す「かなひろいテスト」を体験しました。

 「新種の作物を作ろう!~植物のプロトプラストの単離と細胞融合~」というテーマで体験授業をしたのは、大阪ハイテクノロジー専門学校 生命工学技術科の和田有矢先生。生命工学・バイオテクノロジーの社会での応用や遺伝子組み換え技術、細胞融合にかんするレクチャーの後、細胞融合の実習を行いました。

 黄色と赤色のパプリカを試料に、それぞれ細かくきざみ酵素による処理などの後、プロトプラスト(植物などの細胞から細胞壁を取り除いたもの)を顕微鏡で観察。さらに2種類のプロトプラストを混合し、くっつく様子を観察しました。

  • 細胞融合の体験授業の様子

  • ギターの弾き方を学びます

 大阪スクールオブミュージック専門学校の田中建雄先生と落合先生は、ミュージシャンの体験をしてもらおうと、ギターの授業をしました。生徒1人ひとりにクラシックギターを手にしてもらい、持ち方から簡単なコードの押さえ方、ドレミファソラシドの弾き方など、演奏の基本を指導。楽しい雰囲気の授業で、エレキギターの演奏体験もありました。
 
 三原台中学校では、このほか大阪医療技術学園専門学校の先生が精神保健福祉士、京都医健専門学校がスポーツトレーナー、大阪ダンス&アクターズ専門学校が声優、放送芸術学院専門学校がメイクアップアーティスト、大阪アニメ・声優&eスポーツ専門学校がイラストレーターの体験授業を担当。また大阪医療福祉専門学校の先生は作業療法士、理学療法士に関する授業を行いました。

  • スポーツトレーナーの授業

  • 指を描くイラストレーターの体験

 

感染対策を徹底して積極的に“出前授業”を実施

 滋慶学園グループの“出前授業”はコロナ禍で様々な制限がある中、中学・高校との調整を繰り返しながら、マスク着用や手指の消毒はもちろん“3密”を避ける工夫など感染対策を徹底して行われました。大阪府立高校では昨年9月から、淀川清流高校のほか豊中高校能勢分校、刀根山高校、福井高校などで実施。通信制のECC学園高校大阪学習センターでも授業を行いました。

 また公立中学校では三原台中学のほか、堺市立上野芝中学、大浜中学、尼崎市立小田北中学などで体験授業を実施しています。最近は高等学校だけでなく中学校からの要望も多く、引き続き滋慶学園グループには多様な体験授業を提供する事が期待されています。