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「医療の質と安全管理」を探究 令和4年度 滋慶医療科学大学大学院12期生の入学式が執り行われました 

安全管理を徹底して行われた滋慶医療科学大学大学院の入学式

 国内で唯一、「医療の質と安全管理」の研究者、実践者を育成する滋慶医療科学大学大学院 医療管理学研究科修士課程の入学式が4月2日(土)、大阪市淀川区のホテル大阪ガーデンパレスで密を避け新型コロナウイルス感染症への対策、安全管理を徹底して行われました。

 本大学院は平成23(2011)年4月に国内初の「医療の質と安全管理」を探求する大学院大学として発足、昨年春、医療科学部の新設に伴い滋慶医療科学大学と名称を改め、同大学大学院として本年通算で12期生を迎えました。これまでに教授陣や院生が国内外に多くの論文を発表しており、延べ197名の修了生を社会に送り出しています。

仕事や家庭を持っての勉学、研究「周りの人への感謝忘れずに」 浮舟総長

「患者さんの目線で研究、勉学を」と述べる浮舟総長

 学校法人大阪滋慶学園を代表して挨拶に立った滋慶学園グループの浮舟邦彦総長は、病院などで働きながら向上心をもって大学院に進学してきた21名の新入生に向かって、「3年間のコロナウイルス感染症の拡大は本当に皆さんにとっても困難を強いてきたのではないかと思います」と、まず労いの言葉をかけました。

 「日本は超高齢化社会を迎えて、地域包括ケアへの移行や専門職種を越えたマネジメントも重要な課題になっています。絶えることない医療事故もまた問題としてあります。そういうリスクマネジメントも含めて医療の安全は経営問題にも関わるテーマだと考えています」と述べ、この分野の人材として、職種間連携に於けるマネジメントやジャンル・専門領域を越えたリーダーシップ、そういうことが必要になってくると指摘しました。

 さらに患者さんの目線になって研究、勉学に励んでいただきたいと述べ、「本学の特色は、それぞれが病院で仕事をされている、そしてそれぞれの専門職をお持ちの方々の場だということです。これは本当に特殊な、非常に面白いケースだと思います」と、本大学院の強味を示し、専門職種間での議論やチームマネジメント等々の学び、チームワークを育むことがこれからの大きな財産になっていくと述べました。

 最後に仕事や家庭をもって勉学、研究するためには、「周りの方々の協力が何よりも必要になってきます。周りの方々への感謝の気持ちを忘れないでいただきたい。そして医療の質と安全管理学の研究者、また実践者として、マネジャーとして、高度な専門性を備えたリーダーとして育っていってください」と祝辞を述べました。

「コロナ感染症の拡大で果たすべき役割が増大」千原学長が訓辞

 

学長として訓辞を行う千原國宏先生

 千原学長は、まず大学院としては小規模だが、教授陣は多様な研究分野の専門家が一堂に会する横断型研究集団を構成していると紹介、「新型コロナウイルス感染症の拡大という未曽有の事態に遭遇し、科学的なデータによる合理的かつ効果的な医療安全管理体制の構築に向けて本大学院が社会に果たすべき役割は益々、増大しています」と使命の重要性について述べました。

 また「患者の安心と医療の安全に直結する医療セ-フティマネジメント学や医療ヘルスマネジメント学などを体系的に学ぶことで、医療及びヘルスケアの質の向上に貢献しうる能力を涵養することは大きな意義があります」と述べ、孔子の説いた「学びて思わざれば則ち罔(くら)し、思いて学ばざれば則ち殆(あや)うし」を引用、「知識吸収だけで深く考える思考学習を怠ると、せっかくの学問も身につきません。逆に思索の深さだけで幅広く学ぶ拡張学習を怠ると、独善的な狭義思考に陥り、学問教義が危うくなります。一度きりの学習ではなく、繰り返し学習により真の理解に至る、その真の理解の喜びを感じながら、楽しく学習を続け、学びの領域を大きくせよという意味です」と説明。さらに現代では様々な媒体を通して情報が押し売りされている状態であり、「膨大な入手情報をいかにして選抜し活用するか、いわゆる情報収集能力に加え、情報選択、活用力というものが大切な時代になったと考えられます。しかし情報収集の作業の便利さと引き換えに、従来からの知る、思うなどの学習能力が衰えていくのではないかと心配しますが、学びの再生を失わないようにすることが大切です」と、周りの人から人徳に思いを寄せられる徳識のリーダーに成長して欲しいと求めました。

 さらに医療科学も自然科学や社会科学の応用的手法だけではなく、形式科学の理論を習得する必要があると述べ、無理なく体系的な学習が進むカリキュラムと主副指導教員による手厚い研究指導体制の下、「この恵まれたオープンな横断型研究教育環境を活用して、幅広く深い学識と研究能力、また高度な専門的職業を担う卓越した能力の涵養に心がけ、院生同士がお互いに切磋琢磨して生涯の友に出会う機会が訪れることを心から願っています」と、お祝いの言葉を贈りました。

 この後、大阪大学医学部医学部長で同大学院医学系研究科研究科長を務められている熊ノ郷淳先生にご臨席頂き、祝辞として貴重なお話を頂戴いたしました。

「これから学ぶことは社会・医療の現場で求められていることを自覚して欲しい」大阪大学大学院医学系研究科研究科長の熊ノ郷先生

新入院生に激励の言葉をかけて頂く熊ノ郷先生

 熊ノ郷先生は、「この5年、10年の間に、医療の現場においては医療革命あるいは大きな変革が起こっています」と述べ、薬の領域やがん治療の領域、ダビンチ手術に代表されるロボット手術等々、目覚ましい進歩の事例を詳しく紹介、「現在大きな問題となっている新型コロナCOVIT19、その現場に於いては感染症対策、あるいは人工呼吸器やECMO装着を必要とする患者さんが運ばれてきているわけです。しかも情報化社会においては、自分の症状、医療情報を知った形で受診している」と述べ、今、国によって「AIホスピタル構想」が進められているなど、「今まで想像もしていなかった大きな変革が起こっています」と話されました。

 さらに、「そんななかでいかにして医療の質を担保しながら、医療の安全を図っていくか。そういう最新の情報や知識をキャッチアップした人材が医療の現場に於いても、あるいは社会においても本当に求められています」と述べ、「皆さんがこれから学んでいくことが社会、医療の現場で求められていることだということを強く意識して頂けたら、自覚をもっていただけたらと思います」と、大阪大学医学部や大阪大学大学院医学系研究科と大阪滋慶学園との密接な関係についても触れられ、「今後も一緒にやっていきましょう」と激励のお言葉を頂きました。

77通の祝電を頂きました

 大阪府立病院機構理事長、遠山正彌様や公益社団法人日本医師会会長の中川俊男様、公益社団法人日本看護協会会長、福井トシ子様、公益社団法人日本臨床工学技士会理事長、本間崇様など医療機関や学術・業界団体など各方面から77通もの祝電を頂き、一部が紹介されました。

入学生宣誓

12期生を代表して誓いの言葉を述べる横山さん

 最後に、12期生21名の入学生を代表して看護師として働きながら医療管理学研究科医療安全管理学専攻修士課程に進んだ横山里美さんが宣誓を行い、「これからの大学院での学びに大きな希望を抱き、安全管理学のスペシャリストへの一歩を踏み出すこと身の引き締まる思いです。様々な地域や分野から集まった仲間たちと出会えることに感謝し、多種多様な学びと経験に基づき指導して下さる先生方の下、真摯に研究に取り組み、現場でリーダーシップを発揮しながら安全な医療人の教育、研究体制を確立し、そのシステム構築を行いえる人材となることを誓います」と力強く述べました。

  • ご来賓の先生や教授陣も加わっての集合写真