お知らせ

News

「SDGsフォーラム~“食”から考えるSDGs~」に留学生が参加しました! 大阪ハイテクノロジー専門学校

大阪ガスネットワークの船渓俊輔氏(左から2人目)と記念写真

 大阪ハイテクノロジー専門学校 日本語学科の中国人留学生6名が1月15日(日)、大阪ガスグループのハグミュージアム(大阪市大正区)で行われた「SDGsフォーラム~“食”から考えるSDGs~」に参加しました。SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年に国連サミットで採択された国際目標で、2030年までによりよい社会の実現を目指すことを目標としています。中国ではSDGsに対してあまり関心はないそうですが、「食」は私たちにとって一番身近なテーマなので、これに関連付けてSDGsについて考えてもらいたいと考え、参加しました。

 第1部では「住まいから考えるSDGs」をテーマに、京阪神に住む小学生たちが昨年10月、京都府木津川市の積水ハウス総合研究所で体験したユニバーサルデザインの家の暮らしについて、発表しました。この研究所は、積水ハウスが「我が家を一番幸せな場所にする」ということを目指して設立し、家に関するさまざまな研究をしています。

 車いすで生活をしてみると、たくさん不便なことがあります。参加した子どもたちは、ユニバーサルデザインによる家で実際に車いすを使って移動した体験を元に、「引き戸と開き戸はどちらが不便か」や「風呂はとても入りやすかった」などの発表をしていました。子どもたちはしっかり学んだようで、保護者も「家庭でもごみの分別をしっかりするようになった」「子どもたちもいろいろ手伝ってくれるようになった」などと感想を語り、子どもたちの変化を感じていました。

 

料理人の森野熊八氏「もったいないが食育の基本」

 第2部は、数多くのテレビ番組にも出演している料理人、森野熊八氏の「もったいないが食育の基本」というテーマの講演でした。森野氏は、日本で1964年に行われた東京オリンピックを境に、和食だけでなく様々な国の料理が食べられるようになったことを振り返りました。

 現在では、家庭でも中華料理や韓国料理、インド料理など様々な国の料理が食べられます。そんな中、大きな問題となっているのが、食べられるのに廃棄される「食品ロス」の問題です。今や日本は「飽食」の時代となっており、スーパーやレストランなどでは大量の食品ロスが生まれています。その量は1年で約520万トンになるそうです。

 これには留学生たちも「こんなに捨てられているのか!」と驚いていました。スーパーやコンビニで、期限が過ぎたからというだけで食品が捨てられていることは、留学生たちも知らなかったようで、「まだ食べられるのに捨てられるのはもったいない!」「店が常に新鮮で大量に商品を用意すべきという考えが食品ロスを生む1つの原因。この考えは変えた方がいい」という意見が出ていました。

野菜にも花言葉のようなメッセージがある

 第3部では、食の専門家たちが「食から考えるSDGs」というテーマでパネルトークが行われました。龍谷大学教授の山崎英恵氏からは、出汁の香りでリラックス効果が生まれる研究について伺いました。留学生はこの話を聞いて「出汁にそんな効果があるのか」「出汁の香りが副交感神経を刺激することで、リラックスしたり楽しいと感じたりすることができるのは初めて知った」と、感想を語っていました。

  • パネルトーク「食から考えるSDGs」(写真提供:産経新聞社)

  • 「食」にかんするさまざまな話を真剣に聞く留学生

 また野菜ソムリエ上級プロの西川満希子氏は、それぞれの野菜に花言葉のようなメッセージがある“ヤサイコトバ”の話をしてくださいました。生姜には垂直に伸びる葉から「合格一直線」という意味だそうです。留学生たちはこれを聞いて、「中国にも筍には、一節一節成長していくので仕事の昇進という意味が込められている。日本の野菜にも同じような意味があるのは初めて知った。もっと知りたい」と興味津々の様子でした。

 また、管理栄養士の西本裕紀子氏は、近年栄養指導の件数が増えていることや、妊婦の栄養管理の重要性についてお話してくださいました。妊婦が健康でないケースが多く、その場合、生まれた子どもはメタボになりやすいそうです。これには、留学生も「食事が将来の子どもに与える影響はとても大きい」「この話を聞いて、食事の量や栄養に気を付けた食事を科学的にとる必要があると感じた」と話していました。

「子ども食堂」だけでなく「家族食堂」の必要性

 最後に、大阪ガスネットワーク株式会社の船渓俊輔氏が、大阪ガス株式会社が取り組んでいる「食育」について話してくださいました。今の子どもたちは火を使う機会が少ないので、火を触りにいくことさえあるそうです。また、家族で食事をとることによって多くの会話が生まれるといい、他の食の専門家たちも重要なポイントだと語っていました。

 ディスカッションでは、現在子ども食堂が増えていることに関連して、これからは家族で一緒に食事をとる「家族食堂」の必要性について、多くの方々が指摘されました。また家族だけでなく、社会全体で食育にかかわり、次世代の子どもたちへ食の重要性を継承していくことが大切であると皆さん、おっしゃっていました。

 終了後に留学生たちは「今日の晩御飯、何を食べようか」と話していました。食の大切さを改めて考えさせられたようで、うれしく思いました。

大阪ハイテクノロジー専門学校 日本語学科 中村 絵)