お知らせ

News

ミュージカル「明日への扉」 ザ・シンフォニーホールで3年ぶりの有観客公演の開催へ 大阪スクールオブミュージック専門学校、大阪ダンス・俳優&舞台芸術専門学校の学生らが初めて企画・運営を行った記者会見が開かれました

学生たちが開催したミュージカル「明日への扉」の記者会見に出席した主役の学生たちと関西骨髄バンク推進協会の栄田様

 大阪スクールオブミュージック専門学校(OSM)と大阪ダンス・俳優&舞台芸術専門学校(DA)、大阪スクールオブミュージック高等専修学校の学生・生徒らによる骨髄移植推進キャンペーンミュージカル「明日への扉」公演が3年ぶりにザ・シンフォニーホールで観客を迎えて開催されます。1994年以来、毎年先輩から後輩へと受け継いできた公演は今年コロナ禍を乗り越えて実現すれば170回目となります。2月10日(金)、11日(土)に行われる3公演を前に2月1日(水)、「一人でも多くのお客さんに見てもらい、骨髄移植のことを知ってもらいたい」と学生たちが吉本興業のプロモーションご担当の方にレクチャーを受け、監修のもと自分たちの手で初めての記者会見を開催しました。

公演は
■2023年2月10日(金)
・第168回 開場 11:00 / 開演 12:00
・第169回 開場 17:00 / 開演 18:00
■2023年2月11日(土)
・第170回 開場 12:00 / 開演 13:00
会場 ザ・シンフォニーホール
詳しくは「明日への扉」の公式サイトをご覧ください
https://www.asuenotobira.jp/index.html

 「明日への扉」は1994年2月、財団法人骨髄移植推進財団(現公益財団法人日本骨髄バンク)からの協力要請を受けた大阪スクールオブミュージック専門学校(OSM)の学生たちが白血病患者を救うために音楽を通してドナー登録を呼びかけよう、と立ち上げたミュージカルです。2019年度まで26年間、東京や福岡、名古屋の姉妹校も巻き込んで毎年続けてきましたが、コロナ禍のために、昨年、一昨年と2年間、有観客公演は中止となりました。とくに昨年は公演を決行するかやめるかギリギリまで調整を行い、結局、感染者急増の社会情勢の中、涙を呑んで中止にしました。

 午後4時から学校のホールで行われた記者会見には、主役のゆかり役のDAテーマパークダンサーコース2年の波多野日菜さんと、同じコースに学ぶ遥役の大福真穂さん、さらに総勢338名の制作スタッフ・出演者の管理リーダーを務めるOSMコンサート企画制作コース2年の轟幸香さんが出席。制作総監督の喜多静一郎学校長とNPO法人関西骨髄バンク推進協会の栄田慶子様が同席しました。

  • IMG_9613全体2
    記者会見への出席者が紹介されました

  • IMG_8712全体4
    会見には学生代表3名と喜多学校長、関西骨髄バンク推進協会の栄田様が出席しました

俳優コース2年生の前田さんが記者会見の司会を務めました

 
 記者会見は学校を代表して教務部長の矢野訓男先生がお礼のあいさつを行った後、DAミュージカル俳優コース2年、前田羽衣音さんの司会で進められ、前田さんが「このミュージカルをより多くの人に知って頂き、より多くのお客様に観に来ていただくことで、骨髄移植についての理解を深めて頂きたいという思いから記者会見を開催させていただきました」と、学生全員が骨髄移植や白血病についての学びの授業を受けていることなどと共に説明しました。

  • IMG_9605矢野先生

    矢野教務部長のあいさつ

  • IMG_96前田さん

    司会役を務める2年生の前田さん

学生たちに講演して頂いた関西骨髄バンク推進協会の栄田様も応援してくださいました

 まず総監督として喜多学校長が28年間続けてきた「明日への扉」の歴史や、このミュージカルを滋慶学園グループの教育理念の一つである「人間教育」の一環として行っていること、このミュージカルから多くの劇団四季のトップスターなどが生まれてきたことなどを紹介した後、1月17日(火)に行われた「明日への扉」結団式の中で学生たちに講演して頂いた関西骨髄バンク推進協会の栄田様が、障がいを抱えながら育ててきた自分の娘が再生不良性貧血という血液の難病にかかったことをきっかけに、骨髄バンクの普及広報委員の活動に関わっていると自己紹介。
 「娘は子供の頃に兄から骨髄をもらって移植を受けました。闘病生活の中で今看護学生として自分も病気で苦しむ人の役に立ちたいと頑張っています。しかし再度、骨髄移植を受けなくてはならず、ドナーを探していますがなかなか一致するドナーが見つかりません」とドナーに巡り合う難しさを訴えました。そのうえで、ドナー登録は簡単に行えるし、まだまだドナー登録が必要なのでぜひ登録して欲しいと理解を求めました。そして「このミュージカルは、娘の闘病の様子を記録したビデオを見て号泣していた学生さんたちが想いを込めて作っています。ミュージカルを通して患者の厳しい状況を知ってもらい、一人でも多くの方にドナー登録をしていただくことを願っています」と呼びかけました。

  • IMG_9617喜多学校長

    制作総監督の喜多静一郎学校長

  • IMG_9618栄田さん

    ドナー登録を訴える関西骨髄バンク推進協会の栄田様

「学生のトークコーナー」と題しQ&A形式で「明日への扉」をPRしました

 このあと、学生たちが記者会見をリードし、轟さんが公演の開催要項や公演では寄付を集めて公益財団法人日本骨髄バンクと一般財団法人夏目雅子ひまわり基金に贈ることになっていることなどを説明。学生たち記者の皆さんにどうすれば伝わるかと考えた「学生のトークコーナー」に移って、Q&Aの分かり易い形式で発表を進め、「明日への扉」の全体像を報道陣の皆さんにアピールしました。

あらすじ

 舞台のあらすじは、ミュージカル「明日への扉」の主役をめぐって最終選考に残ったゆかりや遥(はるか)ら4人が激しいライバル争いを繰り広げ、やがて遥がオーディションを前に「慢性骨髄性白血病」に倒れ病院に運ばれます。遥の病気はゆかり達に様々な波紋を投げかけ、相手を蹴落とすことしか考えていなかったライバルやライバルを取り巻く若者たちが、骨髄移植で助かる命があることを知り、生きることの素晴らしさに気づいていく…という内容です。

総勢338名の学生が創り上げる舞台

 この舞台を総勢338名、うちスタッフは演出部、出演者管理、運営、チケット、バックステージツアー、照明、音響、楽器、映像など合わせて178名のメンバーが力を合わせて作り上げます。

 司会の前田さんから、今回の主役のゆかり役に選ばれた気持ちを聞かれた波多野さんは、「誰にも負けられないと本気で獲得した役なので、去年、公演できなかった先輩たちの想いも背負って憧れのゆかりらしい『強い女性』を本番の日まで模索し続けます」と話しました。また同じく主役の遥役に抜擢された大福さんは、「私は(白血病に倒れた)遥ちゃんの人生がどんなものかを知りたかったのと、遥ちゃんの気持ちを私なりに伝えて病気の大変さを知ってもらいたいと思いました」と述べました。

それぞれの”推し”の「見所」を紹介しました

 それぞれが思う作品の見所について、大福さんは「冒頭のダンスシーンです。本当のオーディションさながらに1人1人がぶつかり合って、高めあって全身を使って表現するところをぜひ見て頂きたいです」と述べました。波多野さんは「なんといっても最後のシーンです。それぞれの人たちが困難を乗り越えて見つけた先にある愛がつながり合って一つになる瞬間が観られるのがこの場面です」と推しました。轟さんは2幕の最初の遥のソロシーンを挙げ、「ここは唄って踊って、ザ・ミュージカルというシーン。生きることの素晴らしさを伝えたいという遥ちゃんの想いが一番詰まっています」と述べ、それぞれの“お勧め”シーンを紹介しました。

 さらに授業での取り組みを聞かれて、制作スタッフの轟さんは「白血病や骨髄移植について学び、骨髄移植という方法で救える命があることを伝えたいとプロモーション活動を行っています」と話し、各種SNSで情報発信し、今年新たに学生運営のホームページを作ったことや保護者向けのバックステージツアーの企画開催を行っていることなど、観客動員に向けた様々なプロモーション活動を紹介しました。

  • IMG_9638主役2人立

    主役に抜擢された遥役の大福さんとゆかり役の波多野さん

  • IMG_9639主役2人

    舞台でのシーンを再現しました

役作りがうまくいかなくて、もうやめてしまおうかと思ったことも

 2年になって役柄が変わったことへの心境の変化を質問された波多野さんは、「先輩という立場になってプライドの高い所を見せる場面で、いいところを見せたいと思いながらなかなかうまくいかなくて、悩んだり悔しい思いをすることが多くなって、もう辞めてしまおうと思ったこともありました」と告白。「でもここで辞めてしまうと自分の夢につながらないなと思い直して頑張ってきました」と話しました。また「このミュージカルを通してどんなことにつながると考えていますか」と聞かれた大福さんは、「ドナーの方を広く集めて患者さんとの橋渡しになり、協力が大きな希望につながると思います」と力強く答えていました。

 最後に本番に向けての想いを聞かれると、それぞれ「本気の120%で踊って、歌って、喋って楽しんでいる姿をお客さんに伝えます」(波多野さん)、「一人でも多くの患者さんを救うために学生一人ひとりの若いパワーで全身全霊で舞台をお届けします」(大福さん)、「ステージの皆さんが万全な形でパフォーマンスできるように支えあい、コミュニケーションを第一に本番に向かっていきます!」(轟さん)と、力強く回答していました。

報道陣からの質問に戸惑う場面も でも乗り切りました

 そして、いよいよ報道陣との質疑応答です。記者さんからの鋭い質問や想定外の質問に、学生たちは時々戸惑う場面を見せ、学校長らが助け舟を出そうとしましたが、学生たちは自力でゆっくりと喋りながら考えをまとめ、「あらすじを教えて」「総勢何名か」「セット転換など大掛かりになると思うが、スムーズにやるための意気込みなどを聞かせて欲しい」といった質問に、懸命に答えていました。

「重いテーマですが、ビデオで学んだ患者さんの辛さや気持ちを自分なりに考えて、役に取り組みたい」

 「命に向き合う難しいテーマだが、どういった気持ちで演じるのか」とのTV局からの重い質問にも、大福さんが「一人ひとりの患者さんの想いをしっかりと受け取って自分なりに演じて、考えながら模索しながら演じています。ハイ」と答えたり、「私自身白血病とか大きな病気に罹ったことがないので、正直それがどれだけ辛いものなのかとか、共感したり同情することが難しくて…」という波多野さんも「でもこの前、栄田さんに見せて頂いた闘病の記録映像だったりの中で感じた、その人の辛さとかを出来るだけ鮮明に自分なりに考えて取り入れて、役に取り組むようにしています」と、若者らしく真っ直ぐに回答。セット転換では、轟さんが「私たちは3年前の映像を見て台本に書き込んだり、先生に教えてもらうのではなく、自分たちで一から学びに行って頑張っています。どの場面が来ても臨機応変にできるように朝お稽古が始まる前にセッティングを済ませます。キャストさんや誰よりも早く動けるようにスタッフは頑張っています」と、しっかりと答えました。

  • IMG_9612 轟さん

    管理リーダーとして発言する轟さん

  • IMG_9634全体3

    左から轟さん、大福さん、波多野さん、栄田様

公演の日まで感染者が出ないことを祈るばかりです

 最後に「Withコロナで100名を超えるスタッフで大変だと思うが」と感染下で注意していることを聞かれ、喜多学校長は「コロナ禍の最中なので、合同練習はギリギリまでやれないということで教室を分けてたり、感染者がでた疑いがあれば練習を止めざるを得ないので、学生は大変な思いでやってきたと思います。そういう感染の恐怖と隣り合わせの中で、個人や少人数で練習を積んできてくれました。本人たちにとっては長い長い道のりだったと思います」と応じました。

 また「3年前はビッグバンドといって大きな楽器がたくさん出てきましたが、今大きな音を出すとお客さんが怖がりますので、作曲チームの協力を得て、最新鋭の音楽制作にチェンジし、少人数の編成で今までの大編成のオーケストラに負けないような演奏に変えたり、細かな工夫を積み重ねて、感染対策をしながらの公演を迎えます。あと1週間、感染者が出ることなくやってほしいなと祈るしかありません」と理解を求めました。

 轟さんも「転換は大人数が必要ですが、スタッフを最小限に絞って、出演者管理と演出を4人づつに絞って計8人でやっています。あとは稽古の部屋を分けたり、体調が少しでもすぐれない人は休みにしています」と最小限で頑張っている姿を訴えました。

いい雰囲気の記者会見になりました

 この日の記者会見はプロモーション企画担当の学生たちが吉本興業の劇場本部プロモーション室の角田芙希子室長に「記者会見って、どのように開くのですか」と教えを請い、「じゃあ、うちの記者会見を見学に来れば」と言われて、同社の記者会見を一度だけ見学。出演者の相関図をイラストにした発表資料を作成したり、見よう見まねでプレスリリースを作って、在阪の各メディアを回って、記者会見への参加をお願いしました。

 その努力の甲斐あって、この日学校のホールで行った会見には、在阪テレビ局をはじめ、新聞社など数社の記者さんが駆け付けてくれました。会見はいい雰囲気で終わり、学生たちもホット一安心の表情を見せていました。ぶっつけ本番の記者会見を心配して見に来て下さった角田室長も「学生の皆さんのアイデアや頑張りには、私の方がいい勉強になりました」と笑顔で戻ってきた学生たちを迎えておられました。