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滋慶医療科学大学の入学式が行われました!医療DXを担う臨床工学技士をめざして
臨床工学技士を育成する滋慶医療科学大学の第5期生の入学式が4月5日(土)、大阪市淀川区のホテルで開催されました。工学と医学に通じ、患者の生命の維持に直結する“いのちのエンジニア”をめざし、50人の新入生と4人の編入生が、新たな学びをスタートさせました。医学・医療の最前線にいる京都大学附属病院の先生から、臨床工学技士に求められる仕事の領域が広がり、医療機器の扱いだけではなく医療DXを推進する人材として期待がかかるという祝辞をいただき、新入生たちは目を輝かせていました。

同大学は医療安全管理学の大学院修士課程として、2011年に開学した滋慶医療科学大学院大学がルーツ。2021年に滋慶医療科学大学として組織変更し、医療科学部臨床工学科を設置。今年3月に学部の第1期生が臨床工学技士として社会に巣立っています。
「日本の大学生の倍以上の努力が求められる!」 千原國宏学長
千原國宏学長は訓辞なかで、第1期生が臨床工学技士の国家試験で100%合格したことを紹介。この実績を伝統とするべく努力するよう求めました。さらに大学での学びについて、専門知識・技術を身に付け、課題を発見し解決方法を導き出す能力を身に付け、将来の夢を実現する力を養うことだ、と諭しました。
「興味ある学問を主体的に学んで、自分で課題を発見し、その答えを追究するという行為を実行する必要があるのです。アメリカの大学生と同様に猛烈に学ばなければなりません。従来の日本の大学生の倍以上の努力が求められていることを肝に銘じていただきたいと思います」と強調しました。
そして基礎科目や臨床工学の専門科目や実習、課題研究などに加え、データサイエンスや人工知能など多様化した内容を学ぶ必要性にも言及し、「高い視野から医療に不足しているものは何か、必要とされる医療技術・知識は何かを探究する力を育成し、機器の開発や研究分野でも活躍できる人材に成長することが大学で学ぶ意義なのです」と力説しました。実際に今年の卒業生3名が企業に就職し、2名が大学院に進学したことも紹介しました。


学びの基本について、「自分の無知を自覚せよ」というソクラテスの言葉を挙げながら、「何が足りないのか、何を知らないといけないのか。真の学びの道に踏み出す前によく考えていただきたい。自分に欠如している知識が何であるかを問い続ける反復学習が大切です」と述べました。
学長は最後に「一意専心」という熟語を挙げ、「他の事に心を動かされず、ひたすら臨床工学という学問に集中してください。“いのちのエンジニア”として医療に貢献する道は自ら切り拓くのだという決意が必須です。4年後に誰一人欠けることなく、命の根源を理解した豊かな人間性と倫理性をそなえ、知的好奇心に溢れるスペシャリストとして活躍の場に巣立つと信じています」と締めくくりました。
「自分のポートフォリオを作る努力を!」 浮舟邦彦総長
大学の運営母体の学校法人大阪滋慶学園の理事長で、滋慶学園グループの浮舟邦彦総長はビデオで祝辞を贈りました。最初に新入生たちが将来の仕事を見つけて大学に進学したことが「自己発見」であるとし、その夢をしっかりした目的・目標に変えなければならないと強調しました。
「卒業時のゴールを目標に学びをスタートさせることが大切です。卒業の時にプレゼンテーションをする自分のポートフォリオ(実績や力量を評価するための資料)を作りあげる努力をしてください。卒業後に自分のキャリアを伸ばしていくための基礎・基本を学ぶ大切な学生時代なのです」
滋慶学園グループが「職業人教育を通して社会に貢献していく」というミッションの下で人材育成につとめ、「実学教育」「人間教育」「国際教育」という理念に基づきカリキュラムが組まれ、シラバスが構成されていることについても説明。


そのうえで、「皆さんは必要な専門教育を受け、即戦力のスペシャリストとして社会に巣立ちます。業界で仕事をしていく『身構え・気構え・心構え』を学ぶことも大切です。そのために学校の至る所に『今日も笑顔であいさつを』という標語が掲げられています。笑顔の挨拶、朝食を必ずとるという生活習慣を身に付けてください。同時に多くのことに好奇心を持ち、主体的に学ぶ習慣を身に付けてしていただきたい」と求めました。
またグローバルに活躍できる人材として成長する重要性についても言及。「これからは世界が職場です。多くの国の方と一緒に仕事をします。コミュニケーション言語としての英語はもちろん、専門英語の大切さを理解してください。違った価値観や文化を理解する真の国際的な感性を身につけてください」と期待を寄せました。
「医療DXの中心は臨床工学技士」 京都大学医学部附属病院 黒田知宏教授
続いて来賓の京都大学医学部附属病院 医療情報企画部長の黒田知宏教授が祝辞を述べました。黒田教授は“いのちのエンジニア”の仕事として一番典型的だったのがコロナウイルス感染症の時だったとし、「基本的に臨床工学技士がいかに早く、正確に仕事をしてくれるかは、患者さんの命が救えるかどうかにかかわってくるのです」と述べました。
黒田教授は情報工学を中心に研究を積み重ねており、情報システム、情報通信、ネットワークなどのプロフェッショナル。臨床工学技士の仕事について医療機器の保守・管理にとどまらず、医療におけるデータサイエンスや病院のネットワークを支えることにまで広がりつつあると指摘しました。
「最近よく言われる『医療DX』を設計する中で、厚生労働省は将来の医療技術を支える人材をどのように医療機関に送るのか、そういう人材をいかにしてセキュリティを守る人として、あるいは病院の業務改善する人材として働いてもらうためにどうするかを議論しています。それをまとめた文書で中心に書かれているのが臨床工学技士なのです」と黒田教授。医療機器の世界は実は大変難しく、信号の出し方から電気の流し方、その扱いを知っている人でないと、トラブルがあっても原因追及も出来ないと言います。


臨床工学技士を目指す学修について、黒田教授は「きちんとしたエンジニアリングを学び、電気工学や情報工学の基礎から最新の情報技術に至るところまでを広く学ぶこと、そしてその学んだ技術を常にキャッチアップをして常に勉強する態度を持つことが出来なければ、医療機器を支え続けることは出来ません。是非この大学で重要な基礎体力をしっかり身に付けてください。これから社会を支える人材になるためにしっかり学んで、皆さんの未来を切り拓いていっていただきたいと思います」と激励しました。
「緊密でウィンウィンの協力関係を」広東薬科大学 ガン・ユエンホン先生
次に中国の広東薬科大学から来られた来賓の先生の紹介がありました。代表して副学長のガン・ユエンホン先生が祝辞を述べ、「大学の学修はより高いレベルの知識の追究であり、学生の皆さんが学術研究に身を投じて一心に学び、医療のために人生の価値を実現することを望みます」と語りました。
広東薬科大学は創立66年を迎え、約28000人の学生を擁しています。世界20ヵ国・地域の50余りの大学等と協力関係を結び、国の発展と文化交流に力を入れています。学校法人大阪滋慶学園と協力関係を締結したのは2008年。ガン・ユエンホン先生は、学生や教員交流、科学研究など多分野での協力を通じて大きな成果を挙げていることを紹介しました。


最後に「貴学は我々の大学に発展の原動力を提供してくれました。今後も教育、医療、科学研究などの分野で、より緊密でウィンウィンの協力関係を構築することを願っています。学生の皆さまの進歩と成長をお祈り申し上げます」と締めくくりました。
「健やかな暮らしを支える臨床工学技士に」 入学生代表
入学生54名を代表して佐伯卓也さんが、「新たな環境への期待と共に不安もありますが、学ぶことの喜びや新しい出会い、同級生や先輩、先生方とのご縁を大切に充実した学生生活を送る決意です。これからの講義や医療実習を通して、医療現場で求められる幅広い知識と技術を身に付け、人々の健やかな暮らしを支える臨床工学技士を目指してまいります」と誓いの言葉を述べました。


