お知らせ

News

滋慶学園グループ社会貢献ミュージカル『明日への扉』 大阪・関西万博で上演、世界へ向けメッセージを発信しました

 1994年の初演から31年、通算185回の公演を重ねてきた滋慶学園グループの社会貢献ミュージカル「明日への扉」が、大阪・関西万博の会場内にあるEXPOホール(シャインハット)で6月16日(月)、上演されました。

 ミュージカルスターを目指す主人公・ゆかりのライバル・遥が白血病に侵され、2人が葛藤する姿を通して、骨髄移植で助かる命があることを伝える物語。万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」にも通じるメッセージを世界へ向け発信しました。

白血病で亡くなった女優・夏目雅子さんの兄も登場

 この日の公演では、セリフや歌詞などの字幕を万博らしく4カ国語でスクリーンに映し出したほか、万博で話題の「空飛ぶクルマ」を取り入れたセリフも飛び出し、会場を盛り上げました。また、急性骨髄性白血病を患い、昭和60年に27歳の若さで亡くなった女優、夏目雅子さんの兄、小達一雄さんも舞台上に登場。「白血病は、ドナーに巡り合えれば治る病気になりました」とドナー登録への理解を求めました。

学生ら227人が携わり、2700人を動員

 「明日への扉」は、骨髄バンクの窮状を知った大阪スクールオブミュージック専門学校の学生たちが「自分たちにできることはないのか」と考え、1994年に初演した骨髄移植推進キャンペーンミュージカル。「いのちを救う」「いのちに力を与える」「いのちをつなぐ」という想いは後輩たちに受け継がれ、31年にわたるロングラン公演になっています。

 今回の万博公演には大阪スクールオブミュージック専門学校、大阪ダンス・俳優&舞台芸術専門学校、大阪スクールオブミュージック高等専修学校を中心に、姉妹校の東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校、東京スクールオブミュージック専門学校 渋谷、東京ダンス・俳優&舞台芸術専門学校の学生も加わり、総勢227人でつくり上げました。当日、公演は午後2時と午後6時の計2回行われ、計約2700人の観客が詰めかけました。

31年、受け継がれてきた感動の物語

 物語は、ミュージカルスターを目指す主人公ゆかりが、ミュージカル「明日への扉」の一次オーディションに、ライバルの遥、俊江、真弓ととも合格するところから始まります。最終オーディションに向けて練習に励む日々。そんな中、最大のライバル・遥が倒れて病院に搬送、骨髄移植でしか治すことができない慢性骨髄性白血病と診断されました。遥の病気はゆかりたちに様々な波紋を投げかけます。そしてゆかりは友人の一言をきっかけに命の尊さを思い、ドナー登録を決意。移植を必要とする患者のため骨髄の提供に同意するに至りました。ところが、最終オーディションの日程が伝えられると、突然ゆかりがいなくなり…。

 激しく揺れる主人公の葛藤の場面、友情や愛情を確かめ合うシーンに観客はくぎづけになり、ハンカチで涙をぬぐう人もいました。

「ドナー登録者 まだまだ足りない」の訴え、世界へ届け

 ミュージカルのテーマである骨髄バンクのドナー登録については、学生が扮する医師のセリフやスクリーンの字幕を通して詳しく説明がなされました。骨髄移植には白血球の型であるHLA型が適合することが必要ですが、適合する確率は血縁者で4分の1、非血縁者で数百から数万分と大変低いのが現実。一方、日本で骨髄移植を必要とする患者は今年5月末現在約1700人で、骨髄バンクのドナー登録者数は約56万人。医師役の学生は「ドナー登録者は多いように思われますが、まだまだ足りないのが現実です」と訴えました。

空飛ぶクルマ…万博ならではのセリフも

 今回の万博公演では、世界へ向けて発信することを意識して、舞台の両脇のスクリーンに英語、中国語、韓国語、日本語の4カ国語の字幕が映し出されました。また、姿を消したゆかりを仲間たちが探しに行こうとするシーンでは、お嬢様劇団員の麗華から車を用意するよういわれた付き人役が「空飛ぶクルマをご用意しています」と、万博の目玉である「空飛ぶクルマ」を取り入れたセリフで会場を沸かせました。台本にはないセリフで、アドリブだったようです。

 また白血病に侵された遥が、かつて白血病で倒れた女優、夏目雅子さんについて仲間たちに語る場面も。「あの方も治療のために髪の毛が抜けていくのをすごく気にしてたんだって」と、無償でカツラの貸し出しをしている「財団法人夏目雅子ひまわり基金」を紹介し、「私、その話を聞いて、気がついたの。もっと生きたいって思っているのは私だけじゃないんだって」と多くの白血病患者の心の内を代弁しました。

 1人のドナーによって、救えるかもしれない命がある―。裏方も含めた学生全員で大テーマを訴え、迎えたフィナーレ。会場は拍手と歓声が鳴りやみませんでした。

「たくさんの奇跡生んだミュージカル」夏目雅子さんの兄、小達一雄さん

 公演後は、夏目雅子さんの兄で、一般財団法人夏目雅子ひまわり基金代表事務局長を務める小達一雄さんが、学生たちが並ぶ舞台へ。「白血病は、骨髄ドナーに巡り会えたのならば治る病気へと変わりましたが、いまだにドナーに巡り会えていない方が多くいらっしゃいます。ご家族、関係者、友人の方々が今この瞬間もドナーに巡り合うために 走り回っておられます」と厳しい現状を説明し、「ドナー登録に対するご理解、ご協力を宜しくお願いします」と訴えました。

 また、「このミュージカルからはたくさんの奇跡が生まれています」と31年の長きにわたって続く「明日への扉」の上演について触れ、「裏方さんも含め、長い長い時間を毎年このミュージカルのために費やしてくれました。目的は一つ。もしかしたら救えるかもしれない、まだ見ぬ命のために、です」と語り、この日舞台に関わった学生やスタッフだけでなく、全ての卒業生、学校関係者を労いました。