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動物医療飼育学科の4年生が学会でポスター発表をしました! 北海道エコ・動物自然専門学校

 北海道エコ・動物自然専門学校の動物医療飼育学科 希少生物保全コースの4年生2名がこのほど、日本哺乳類学会と日本鳥学会で研究発表を行いました。同コースの3・4年生は、連携している一般社団法人 野生生物生息域外保全センターの学生研究員として活動しています。同センターは、フィールド調査だけでは得られない絶滅のおそれのある生物のデータを飼育下で収集し、その知見を保全活動に活かすことを目的とした施設で、学生は実践的に保全について学ぶ機会を得ています。今回の発表は、こうした取り組みの成果として実現しました。

 8月に酪農学園大学(北海道江別市)などで開かれた日本哺乳類学会では、「オオアシトガリネズミの外部環境(室温)における代謝変化」をテーマに、北海道大学および東海大学との共同研究として発表しました。

 オオアシトガリネズミは北海道に生息するトガリネズミ類の一種で、その生態はまだ十分に解明されていません。本研究の目的は、飼育下における室温変化が体重や代謝に及ぼす影響を明らかにし、繁殖を想定した冬季の飼育技術の向上に資する生理学的な知見を得ることです。また、本研究と関連する取り組みとして、飼育下で繁殖した個体と野生個体を掛け合わせ、2世代目(孫世代)を誕生させることにも成功。これは世界初の事例で、トガリネズミ類の飼育・繁殖技術の確立に向けた重要な一歩となりました。

 一方、9月に北海学園大学(札幌市)で開催された日本鳥学会では、「飼育下モズの単独育雛と複数育雛の成長過程に伴う外部刺激に対する反応の違い」というテーマで発表しました。

 本研究は、北海道大学と連携して行っているアカモズ保全の取り組みの一環で、個体数が急激に減少しているアカモズの近縁種であるモズを用いて飼育・繁殖技術を開発することを目指しています。人工育雛された鳥類は、社会的に人間に依存し行動障害が起こりやすいと考えられていることから、野生で採卵した卵を人工孵化・人工育雛し、単独育雛と複数育雛における行動の変化を比較しました。

 本学では、学生が研究活動を通して主体的に学び、科学的な視点から保全に向き合うことを大切にしています。今回の発表は、これまで積み重ねてきた成果を全国の研究者と共有する貴重な機会となり、学生にとって大きな経験となりました。研究を通して得られた知見は、飼育下での生態データの蓄積や、将来的な保全技術の発展に向けた基礎となることが期待されます。