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「命のエンジニア」としての誇りを胸に新たな航海へ 滋慶医療科学大学の礎を築いた第2期生の卒業式が行われました

 ITやAIの発展で医療機器が高度化・複雑化する中、最先端の専門知識と技術を持つ人材を養成する滋慶医療科学大学の第2期生の学位記授与式が、春の訪れを感じさせる3月14日(土)、大阪市淀川区の同大学で厳かに執り行われました。2021年の開学から、大学の歴史をともに創り上げてきた2期生たちが、臨床工学技士、医療機器のスペシャリスト、そして最先端医療を支えるエンジニアとして、希望を胸に新たな世界へと羽ばたきました。

 式典には、卒業生とそのご家族、教職員のほか、医療業界からのご来賓も多くご臨席いただき、次世代の医療を担う若き専門職たちの門出を祝いました。コロナ禍の影響が残る中で入学し、切磋琢磨を続けてきた学生たちは、対面授業や病院実習、そして国家試験という大きな試練を乗り越え、この日を迎えました。

「学び続ける姿勢と『自由の刑』」千原國宏学長告辞

 千原國宏学長は告辞の冒頭、卒業生の成長が教職員にとって「かけがえのない誇り」であることを伝え、支え続けた家族への謝意を表しました。そして、何もかもが完成されていたわけではない開学初期の環境下で、同じ志を持つ仲間と励まし合い、困難を乗り越えてきた2期生の歩みを称えました。

 千原学長は、①自ら課題を見出し、専門知識と論理的思考で解決へ導く力②命の尊厳を深く理解し、高い倫理観と責任感を持って他者と協働する力③専門分野にとどまらず、生涯にわたり学び続けようとする力―という同大学が掲げるディプロマ・ポリシーの3つの柱を改めて示し、特に「学びを終わらせないこと」の大切さを強調。「医療は日進月歩であり、昨日の常識が明日の非常識になる世界です。だからこそ、変化に立ち向かい信頼され続けるためには学び続ける姿勢が不可欠なのです」と訴えました。

 また、フランスの哲学者ジャン=ポール・サルトルの「人間は自由の刑に処せられている」という言葉を引き、「人は自由に選択できる存在であるがゆえに、その選択の結果に対する責任から逃れることはできません」と医療現場で自ら判断し、その結果に責任を負う専門職としての覚悟を促しました。さらに、生成AIなどの先端技術が医療の可能性を広げる一方で、「それを使いこなす人間の『判断力と倫理観』がこれまで以上に問われています」と説きました。

 最後に、緒方洪庵をはじめとする先人たちが近代医学の発展に尽力した「適塾」の地、大阪で学んだ意義に触れ、「自らが得た知識と技術を糧に、人々の命と健康を支える存在として歩み続けてください」と力強いエールをおくりました。

「職場は新しい道場 人間関係は大きな財産」浮舟邦彦理事長祝辞

 続いて、卒業生一人ひとりに千原学長が学位記を授与。その後、大学の運営母体である大阪滋慶学園の浮舟邦彦理事長(滋慶学園グループ総長)が登壇し、祝辞を述べました。浮舟理事長は卒業生が4年間で養ってきた「プロとしての身構え・気構え・心構え」、そして「人間力」の大切さを改めて説いた上でこう述べました。

 「これまでの学びは決して平坦な道ではなかったと思います。技術や知識の習得に苛まれ、何よりコミュニケーションの難しさに戸惑うこともあったでしょう。しかし、友人や教職員のアドバイス、そして家族の強力な後押しがあったからこそ、それらを克服し、プロのスペシャリストとしての基礎・基本を築けたのです」

 次の段階について、「卒業式は終わりではなく、まさに始まりである」と強調し、プロとして成長するための大原則として「プロは仕事を通して成長する」という言葉を贈り、「明日からの職場は、皆さんにとっての新しい教室であり、道場である」と説きました。そして、「現場で経験する難しい仕事や楽しい仕事、その一つひとつの経験の積み重ねこそが、一人ひとりのキャリアになります」と日々の業務を大切にするよう求めました。

 また、プロであり続けるためには「学ぶ姿勢」を常に持ち続けることが不可欠であるとも。「未知なるものへの好奇心や情熱、そして何より向上心を忘れず、学会や研究会といった外部の場へも積極的に足を運び、専門職として自らを磨き続ける姿勢を持ち続けてください」と促しました。さらに、人とのつながりの重要性についても語り、「ともに同じ道を目指したかけがえのない仲間、恩師、そして実習などで出会った医療業界の先輩やこれから職場で出会う人々とのネットワークは、将来の大きな財産になります」と強調しました。

 最後に、大学は卒業生にとっての「故郷」であることを伝え、「就職を支えたキャリアセンターや教職員が卒業後も変わらず皆さんのアドバイザーとして支え続けます」と約束。北海道から九州まで広がる滋慶学園グループのネットワークも積極的に活用してほしいと呼びかけ、「私たちは誇りを持って皆さんを医療業界へ送り出します。自信を持って、楽しく自分の道を切り拓いていってください」と温かく力強い激励の言葉で結びました。

「モニターの向こう側にいる患者さんを思う」大阪府臨床工学技士会・小北克也会長祝辞

 ご来賓の方々を代表して大阪府臨床工学技士会の小北克也会長から祝辞をちょうだいしました。

 小北会長は「医療技術が日々進歩する現代において、現場からの期待はますます大きくなっています」と、臨床工学技士が生命維持管理装置をはじめとする高度な医療機器を操り、医療の最前線で患者の命を支える唯一無二の専門職であることを強調。これから現場に立つ卒業生に対し、技術者として最も大切にすべき「視点」についてこう説きました。

 「医療現場では教科書通りにいかない事態や、瞬時の判断を求められる場面に必ず遭遇します。そんな時に忘れないでほしいのは、機械の向こう側にいる患者さんを思う気持ちです」。 モニターに映し出される数字は単なるデータではなく、その向こうには、人生があり、家族があり、今日を生きたいと願う一人の人間がいます。臨床工学技士の仕事は、機械を扱う仕事であると同時に、命に寄り添う仕事であり、「一つひとつの確認や判断が患者の安全と未来を支えているのです」と専門職としての重い責任と意義を語りました。

 さらに、小北会長は臨床工学技士の定義について「単に機械を守る仕事ではなく、命を守るために機械を扱う専門職のエンジニアである」と示し、その誇りを胸に刻んでほしいと訴えました。最後に、「迷った時には志を同じくした仲間がいることを思い出してほしい」と卒業生に語りかけ、業界団体としても支えていくと後押しをしました。

「学びを糧に、互いに協力しながら社会に貢献」卒業生謝辞

 数多く寄せられた祝電が披露された後は、卒業生を代表して田井中怜音さんが謝辞を述べました。千原学長をはじめ教職員や長年支え続けてくれた家族へ感謝の言葉を捧げ、2期生として大学で過ごした4年間について「諸先生方の温かい指導を通じて、臨床工学技士として必要な専門知識と技術を研鑽できました」と振り返りました。特に強調したのは、同じ志を持つ仲間との絆。「ともに励み、支え合った時間は、何物にも代えがたい財産であり、これからの人生の確固たる礎になります」と感慨深く語りました。

 田井中さんは、卒業に際し期待と不安が入り混じった心境を明かしつつ、「これからは大学生としての甘えを捨て、自らの立場に責任を持つ」と宣言。「病院、企業、大学院など、進む道はそれぞれ異なりますが、本学で培った学びを糧に、互いに協力しながら社会に貢献していきます」と力強く決意を述べると、会場は温かい拍手に包まれました。

栄誉を称える表彰式

 式典の最後は、優れた功績を残した学生への表彰です。学業に励む傍ら、学外活動やボランティアにも積極的に貢献した学生を称える大阪府臨床工学技士会・会長奨励賞は、来賓代表として祝辞を述べられた小北会長が壇上に立ち、自ら学生を表彰。日本臨床工学技士会・理事長奨励賞と日本臨床工学技士教育施設協議会・代表理事賞、学長特別賞(皆勤賞)の学生には、千原学長から表彰状が贈られました。

 閉式後、卒業生たちは恩師や仲間たちと名残を惜しむように記念撮影を行ったり、4年間の思い出を語り合ったりしていました。