産学連携教育プロジェクト

EDUCATION PROJECT

飼育下のペンギンにみられる 趾瘤症とその原因に関する研究

  • ペンギンの観察の様子

  • 趾瘤症のペンギン

 趾瘤症(しりゅうしょう)とは、飼育下の鳥類の足裏にできた小さな魚の目状の傷から、雑菌が侵入することによって引き起こされる炎症のことを指します。症状が悪化すると、最悪死に至り、現在動物園・水族館その他関連施設では、深刻な問題となっています。

 仙台うみの杜水族館で飼育されているミナミイワトビペンギンは、同一の環境下で飼育されているにも関わらず、発症した趾瘤症の重症度に差が見られました。今回はミナミイワトビペンギンの趾瘤症の原因究明のために、立っている床の材質、入水時間、陸上歩行時間が趾瘤症悪化の原因に関係があるかどうか、継続調査を行いました。
 
 ミナミイワトビペンギン11羽の1日あたりの静止時間、陸上歩行時間、および入水時間を2019年7月から2021年12月まで計測し、観察シートに記録。趾瘤症の重症化と各床材、行動との関連性を見るために、回帰分析(因果関係を関数の形で明らかにする手法)により分析しました。

 その結果、静止時間に関しては趾瘤症重症度との相関が見られ、芝生における静止時間でも相関が見られました。今回の観察では、趾瘤症重症度が高い傾向の個体ほど芝生上での静止時間が長い傾向にあり、足裏への負担軽減のために静止しているのではないかと考えられます。また前回の結果では、玉石に静止する個体ほど改善傾向が見られたものの、継続観察により関連が見られないことが明らかになりました。

 今回の観察中に餌止めを実施しました。それにより入水頻度の増加が認められ、入水を誘発する手段としては有効であると考えられますが、今後慎重に検討していく必要があります。

● 連携企業:仙台うみの杜水族館
● 学科・専攻・コース・学年:
 海洋・ECO学科
 水族館スタッフ専攻/ドルフィントレーナー専攻
 2年
● 取り組み期間:2019年7月~継続中