産学連携教育プロジェクト

EDUCATION PROJECT

【産学連携】大阪湾スナメリプロジェクト 2005年から継続して生息状況を調査

14.海の豊かさを守ろう

 大阪ECO動物海洋専門学校は2005年から、南海淡路ライン株式会社、大阪府立環境農林水産研究所水産技術センター、国土交通省近畿地方整備局、および海遊館と連携して、大阪湾におけるスナメリの生息状況を把握するための調査を行ってきました。

 2024年は5月に近畿地方整備局の船舶で海遊館と調査を行い、海遊館と2回のスナメリ観察会を実施しました。また6月にはスナメリ調査に参加した学生が、環境団体アイサーチ・ジャパン主催の帆船によるスナメリ観察会において、参加した子供たちにスナメリなどの鯨類について解説をしました。

 スナメリ(Neophocaena asiaeorientalis)はネズミイルカ科に属す小型鯨類で、台湾海峡以北の中国沿岸から朝鮮半島を経て日本にかけての沿岸海域に主に生息しています。日本では、仙台湾~東京湾、伊勢湾・三河湾、瀬戸内海、関門海峡の北西海域の響灘、佐賀県の大村湾、および有明海・橘湾などに分布。瀬戸内海における生息数は、1970年代中盤~2000年にかけて減少した可能性があり、とくに瀬戸内海の中・東部海域における生息密度の低下が著しかったようです。

 こうした生息状況の低下には、漁業、化学汚染、埋め立ておよび浚渫(しゅんせつ)などの人間活動が関与した可能性が指摘されており、瀬戸内海東端の大阪湾は漁業や、海岸線の利用などの人間活動がとりわけ活発な、水の入れ替わりの少ない閉鎖性海域です。しかしながら、同湾のスナメリの生息の実態については明らかにされてきませんでした。

 20年に及ぶ継続的な調査の結果、大阪湾においてスナメリは岸和田市から岬町沖の湾東部海域に主に分布するとともに、繁殖期である春~初夏に比較的多く来遊することが判明。大阪湾中部海域におけるスナメリ密度は、来遊ピーク時で0.238頭/km2と推定されました。得られた成果の一部については、学術論文等で発表するとともに、テレビ番組、新聞、各種イベント、および一般書籍などを通じて社会へ発信しています。2013年以降は毎年、海遊館と共同で一般市民を募集し大阪湾においてスナメリ観察会を開催しています。

● 連携企業
 海遊館
 海国土交通省近畿地方整備局
● 学科・専攻・コース・学年
 エコテクノロジー科 ECO自然環境クリエーター専攻
● 期間
 2005年10月~2024年6月