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“いのちのエンジニア”をめざしてスタート 滋慶医療科学大学の入学式が行われました

滋慶医療科学大学の入学式。保護者を迎えて行われました

 医学と工学の高度な知識・技術を兼ね備えた臨床工学技士を養成する滋慶医療科学大学の入学式が4月8日(土)、新大阪ワシントンホテルプラザ(大阪市淀川区)で行われました。大学は3年目を迎え、時代の変化に対応して医工連携による新しい医療機器の開発や、人工知能(AI)・データサイエンスの基礎を学ぶ教育なども充実しています。学生たちは医療への夢をふくらませ、“いのちのエンジニア”をめざしてスタートを切りました。

「『一念通天』『切磋琢磨』『一意専心』をもって学びの道を」千原國宏学長

 式典は千原國宏学長が訓辞を行い、「学業は自己責任で推進するという覚悟をもって、学びの道に挑戦してください」と述べました。アインシュタインの≪間違いをしたことのない人というのは、何も新しいことをしていない人のことだ≫という名言や、50年以上前に事務処理用のプログラミング言語コボルを開発したグレースホッパーの≪いい考えなら思い切ってやってみなさい。許可を得るより謝るほうが簡単だ≫という言葉を紹介。挑戦する意義を示しました。

 さらに「一念通天」という格言は、ひたすら信じて念じ続ければ必ず天に通じて成し遂げられるという意味であり、「切磋琢磨」は同じ道を歩む仲間がお互い不確かなところを確かめ、学び合いながら共に向上するということだと説明。また「一意専心」は、他のものに心を動かされず、ひたすら一つのことに集中することの大切さを教えていると説きました。

 「皆さんは“いのちのエンジニア”に挑戦するという強い心で入学され、これから『一念通天』の実践力と『切磋琢磨』の人間力、『一意専心』の集中力をもって、迷うことなく学びの道にいそしむ学生生活を送ることを願います」と語り、「知識力・探究力・実践力を磨き上げ、高度化・複雑化が進んだチーム医療を支える臨床工学技士として、グローバルな医療の世界で活躍する日を楽しみにしています」と述べました。

  • 冒頭の国歌静聴

  • 千原國宏学長

「皆さんを待つ病院や医療機器メーカーで活躍を」 浮舟邦彦理事長

 滋慶学園グループの総長である、大阪滋慶学園の浮舟邦彦理事長は、新型コロナウイルス感染症の影響下での3年間の努力をたたえ、「私たちはコロナ禍で改めて医療従事者の方々の重要性を再認識し、人工呼吸器やエクモなどの医療機器の専門家が活躍しておられるのを目の当たりにしました」と語り、高度化・専門化が進んだ現代の医療において、医療機器の存在は不可欠であり、ダヴィンチをはじめとするロボット技術による手術や治療、AIによる診断技術などが、ますます一般的になると指摘しました。

 医学と工学の知識・技術をもっている臨床工学技士は、チーム医療の中心的存在として重要な位置を占め、医療機器の操作や管理だけでなく、機器の開発や普及にも活躍の場が広がっています。浮舟理事長は「臨床工学技士に必要な教育を受けるのは当然ですが、デジタル技術、データサイエンスの勉強もします。情報科学や数理統計、AIの処理の科目もあるわけです。多岐にわたって勉強し、課題解決力やマネジメント力などを身に付けてください」と強調しました。

 そして「皆さんを待っている病院、或いは医療機器の開発メーカーなどで、専門家として活躍をして頂きたい。そのためにも目的・目標を忘れず、基礎・基本を学んで頂きたいと思います。頑張っていきましょう!」と激励しました。

  • 浮舟邦彦理事長

  • 大阪ろうさい病院の樂木宏実院長

「医療科学を臨床や開発に活かして」 大阪ろうさい病院 樂木宏実院長

 来賓の大阪ろうさい病院の樂木宏実院長(元大阪大学大学院医学系研究科教授)は挨拶で、「皆さんが取り組む学外実習は、目指す職種がどのようなものか理解するうえで重要です。そこでの疑問や課題を解決したいという思いが、技術力を高め新しい分野の開拓を推進すると思います。大阪ろうさい病院も皆さんを受け入れる多くの施設の1つに選んで頂けて光栄です」と語りました。

 近年の技術進歩について「医療の現場はめまぐるしく動いています。進歩の原動力は工学技術です」と指摘。ダヴィンチに代表される医療用ロボットについて言及し、「これを操作するとき、工学の立場から動かしてくれるというのは心強いだけでなく、新しく見えてきた問題の解決に必須であると考えています。技術は使いこなせればいいというだけでなく、新しいものをつくり続ける努力も必要です」と語りました。

 さらに「スマホの中にあるアプリすらも医療機器になる時代が訪れています。このような開発も医療現場のニーズを知り、かつどのように具体的に活用できるよう応えていくか、工学系の技術をもつ人にゆだねられることだと思います」とし、医療と工学の専門知識を兼ね備えた技術者の一人として勉学に励むよう求めました。

 大学生活について「大学は学問の場です。同じ道をめざす仲間とともに切磋琢磨し、つらい時には支え合い、先輩後輩、教授の先生方の力を借りながら、前に進んでください」と述べ、「大学名を医療科学としていることに意味があります。科学でなければいけません。それを身につけ、さらに極めて臨床の場に活かす、或いは新しい分野の開発の道に進んで頂ければ未来は明るい。皆さんの未来が日本の未来につながっているというのが願いです」と期待感を示しました。

「常に挑戦し続け、成長することをめざす」 新入生 平沼星凪さん

 日本臨床工学技士会など多数の祝電披露に続き、新入生を代表して平沼星凪さんが「私たちは多くの講義や病院・企業での実習、卒業研究などを通して、医療現場で求められる幅広い知識や理論、技術を身に付けることはもちろん、常に挑戦し続け、成長することをめざします。私たちはそれぞれの夢を叶えるべく、今日の決意を忘れることなく日々精進していくことを誓います」と宣誓しました。

  • 誓いの言葉を述べる平沼星凪さん

  • 教育の概要を説明する廣瀬稔学科長

医工連携の科目や感染対策・災害医療・在宅医療の分野の学びも 

 式典の後、臨床工学科の廣瀬稔学科長が教育内容について説明をしました。大学では生物や物理・化学など自然科学の基礎科目に続き、専門基礎科目として解剖学や生理学、免疫学などの医学系基礎と、電気や機械工学、情報処理工学などの理工系基礎を学び、さらに臨床実習や医用生体工学、医療安全管理学などの専門科目まで、段階的にステップアップできるようにしたカリキュラムについて概要を述べました。

 さらに、これらの専門基礎科目・専門科目の上に、課題解決力や変化対応力を向上させるための22科目の発展科目を設け、医工連携として医療機器の開発製造・流通の視点で学ぶ企業実習、臨床工学の発展的な分野である感染対策や救急・災害医療、在宅医療などを学ぶカリキュラム、AI・データサイエンスの関連科目などについても説明しました。

 他大学にはない特色として、わが国唯一の医療安全管理学の修士課程である大学院の教員による講義や実務経験者が多い教授陣、アジア臨床工学フォーラムなどグループで推進している国際教育についても紹介しました。

  • 病院や業界、国内外の大学から多くの祝電を頂きました

  • 教授陣ひとり一人を紹介