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滋慶医療科学大学大学院で学位記授与式 「本学で得た知識・経験を職場で活かします」と誓いました

 医療現場の安全を担う人材育成をめざす滋慶医療科学大学大学院の2023年度学位記授与式が3月9日(土)、大阪市淀川区の同大学院で行われました。医療安全管理学の修士を取得した修了生は、看護師、薬剤師、臨床工学技士など医療のプロフェッショナルとして働いている21人。大学院で学んだことを職場に持ち帰り、安全向上に貢献していくことを誓いました。

 同大学院は学校法人 大阪滋慶学園が運営。2011年に国内で唯一「医療の質と安全」を探究する滋慶医療科学大学院大学として誕生し、3年前、滋慶医療科学大学の発足に伴い同大学院に名称が変更となりました。今年の修了生は大学院大学からの12期生で、改編後2期目の修了生となります。

「自己啓発とキャリアアップに挑戦し続けてください」 千原國宏学長

 千原國宏学長は告辞で、貧しい人が苦労して勉学に励むことを意味する故事成語「蛍雪の功」について語りました。「蛍雪の功は清貧と勤勉のみを連想させますが、2008年にノーベル化学賞を受賞した下村脩・米ボストン大学名誉教授の緑色蛍光たんぱく質の発見と発光機構の解明によって、応用範囲は日常生活に広がりつつあります。フランスでは発光微生物による照明器具を開発しようとする研究もあります。今や蛍雪の功は、持続可能な方法で努力する、という意味もあるのかもしれません」。

 技術革新が進む中で、専門知識、課題探求力、実践力、情報発信力を身につけた修了生を称え、「対面とオンラインという多様な教育研究環境下で獲得された専門的知識は必ず役に立つと確信しています」と千原学長。さらに「みなさんは今後何をなすべきでしょうか」と問いかけ、2年前の入学式で12期生に伝えた言葉を改めてひきました。ルネサンス期に活躍したレオナルド・ダ・ヴィンチの「何かを始めるのに遅すぎるということはない」という名言と、理論物理学者アルベルト・アインシュタインの「失敗したことがない人は新しいことに挑戦していない」という言葉です。

 「この2つの言葉を思い出し、常にチャレンジする心を忘れないでください。皆さんは、昼は働き、夜は学問にいそしむ、という文字通り『昼耕夜誦』の困難な道に踏み出され、初心を忘れず研鑽を積まれて今日の日を迎えられました。新たなステージに立たれた今の初心を心に留め、たゆまぬ努力を重ね、自己啓発とキャリアアップに挑戦され続けることを願っております」と、門出を祝しました。この後、修了生一人ひとりに千原学長から医療安全管理学修士の学位記が授与されました。 

「医療安全、多職種連携のリーダーとしての役割を」 浮舟邦彦総長

 続いて滋慶学園グループの浮舟邦彦総長が、大阪滋慶学園理事長として祝辞を述べました。浮舟総長は様々な職種のプロ同士が共に議論をし、学び合うことは「大きな意義があったことと思います」と称賛。修了生の多くが新型コロナウイルス禍の中、最前線の医療関連の職場で働きながら学んできたことにも触れ、「本当に大変だったと思います。それを乗り越え、今日を迎えた皆さんに心からおめでとうございますと申し上げたい」と言ってねぎらいました。

 浮舟総長は、日本で少子高齢化が急激に進む中、医療のシステム・制度が変化し、多職種連携が進んでいることや、福祉事業の垣根が低くなっていること、医療現場での働き方改革が求められていることなどを挙げ、「皆さんは職種間連携におけるマネジメントリーダーとして重要な役割を担っていくことになります」と修了生に期待を寄せました。

 その上で「皆さんにお願いしたいこと」として、「学びを生涯続け、医療安全のマネジメントができる研究者、実践者としてキャリアアップしていっていただきたい」と求め、「医療安全と安心の質向上に寄与していただき、その知のネットワークを強固なものにして広げていっていただきたいと思います」とはなむけの言葉を贈りました。

「高度な医療と医療の安全は両輪」 大阪大学附属病院、竹原徹郎院長

 また来賓の大阪大学医学部附属病院の竹原徹郎院長は、祝辞で医療安全の分野が「重要な領域になっている」として、同病院の現状を説明しました。「私たちの病院は特定機能病院ということで、多くの患者さんが良い治療を受けたいと希望して来られます。医師も看護師もすべてのスタッフがその期待に応えたいと治療にあたります。誰もが高度な医療を提供しようと努めていますが、『医療安全』というものがないと良い医療にはつながりません。高度な医療と医療安全は車の両輪なのです」と強調しました。

 竹原院長は大学院の3つの教育理念のうちの一つ、「国際教育」について「非常に重要なことだと思います」と語り、広い視点を持って良い医療を提供することの大切さを説きました。最後は「皆さんは医療安全の分野の専門家として今、巣立ちます。それぞれの施設で安全管理に尽くすとともに、広い視野を持って活躍していただきたいと思います」と結びました。

 授与式には大阪府医師会や日本看護協会、日本臨床工学技士会、日本臨床衛生検査技師会などの業界団体をはじめ、関西の主な医療法人、社会福祉法人、アメリカや中国の大学などから多数の祝電が届き、一部が紹介されました。

「新たな知識を得る充実感に背中を押された」 修了生の小泉希代子さん

 式の終わりに、看護師として働きながら医療安全管理学の学位を取得した小泉希代子さんが謝辞を述べました。コロナ禍での大学院生活について「本来の業務を優先せざるを得ないことが多く、体系的な学びと研究は容易なことではありませんでした。しかし恵まれた学習環境の中、新たな知識を得る充実感、それを現場に生かせる期待感に背中を押される毎日でした」と振り返りました。そんな中で「共に学ぶ仲間の存在は大きかった」といい、「多様なアイデアを出し合い、多くの課題をのりこえた経験は、現場に戻り多職種で医療安全を推進していくうえで確かな自信となりました」と語りました。

 修士論文について「自らの臨床上の疑問にこだわり、解決のために真摯な態度で研究を積み重ねることの重要性と、その成果を論文として表現する手法を学びました。論文が完成した際の達成感はこの先、私たちの心の糧となるに違いありません」と語り、「今後は本学で得た多くの知識・経験を最大限に現場で活用し、医療の安全と質の向上に貢献していきます」と誓いました。