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沖縄本島最北端の酒造所で輝く東京バイオ卒業生:やんばる酒造株式会社 5代目当主 池原文子さん

 沖縄本島最北端、自然豊かな山原(やんばる)の地に根ざし、70年以上の歴史を誇るやんばる酒造株式会社。長寿の里として名高い大宜味村で創業したこの酒造所は、地元の自然や文化と深く結びつきながら、地域に愛される「島酒」泡盛を造り続けています。東京バイオテクノロジー専門学校 醸造発酵コース卒業生の池原文子さんは、5代目当主(代表取締役)として、自然と伝統が織りなす泡盛造りに従事しています。

⚫︎やんばる酒造株式会社
 https://takazato-maruta.com/

 泡盛造りに欠かせないのが「水」です。やんばる酒造では、大宜味村の山々から湧き出るミネラル豊富な中硬水を使用しています。この天然の恵みが、泡盛の要である黒麹菌の力を最大限に引き出し、良質な麹を育てることで、泡盛に独特の豊かな風味とやわらかな甘さを与えています。さらに、この湧水を丁寧に磨き上げ、仕込み水や割水としてふんだんに使用しています。昔ながらの水路を守りつつ、自然の恩恵を最大限に活用する酒造りを続けています。

 やんばる酒造では、一般的な泡盛造りの約2倍となる発酵時間をかけ、米の旨みを最大限に引き出しています。さらに、一般酒でも蒸留後約1年間の熟成期間を設けて出荷することで、より滑らかで飲みやすい味わいを実現しています。古酒は全量3年以上熟成させたものだけを使用し、熟成年数が異なる泡盛をブレンドして、「一番旨い!」と思う泡盛だけをお届けしています。小さな酒造所だからこそ可能な手間を惜しまない酒造りが、やんばる酒造の品質を支えています。

 1950年の創業以来、地元の人々に支えられてきたやんばる酒造。その感謝の気持ちを胸に、地域社会と自然環境の未来を担う存在であり続けたいと考えているそうです。地元で消費される泡盛が全体の約7割を占める同社では、地域のイベントや文化を盛り上げる活動にも積極的に参加、地域の若者たちに酒造りの魅力を伝え、地元の発展に寄与することを大切にしています。また、持続可能な酒造りを目指し、環境に優しい取り組みにも力を入れている企業です。

 池原さんは、本校で学んだ発酵学や醸造学などの科学的な知識を活かし、発酵や熟成の工程を改良しています。伝統的な酒造りをより効率的かつ高品質なものに進化させた結果、泡盛鑑評会で金賞や沖縄県知事賞ブレンダー・オブ・ザ・イヤーをW受賞するなど、国内外から高く評価されています。

 地元の魅力を伝え、泡盛を通じて地域や世界を笑顔でつなぐやんばる酒造。その泡盛は、特別なひとときを演出するだけでなく、地域と自然の素晴らしさを感じさせてくれる一杯です。その一杯に込められた時間と手間を、ぜひ体験してみてください。

東京バイオテクノロジー専門学校 産学連携推進センター・新規事業センター 杉田 佑輔)